2022年6月の光化学オキシダント高濃度事象における群馬県の揮発性有機化合物濃度の日内変動

2022年6月末に関東地域で発生した光化学オキシダント(Ox)高濃度事象の期間において、群馬県前橋市で日中の時間分解能を上げた揮発性有機化合物(VOC)調査を実施した。日中では日射が増加する正午頃にかけてアルカンや芳香族濃度は減少し、アルデヒド濃度は増加していく変動を連日示した。光化学反応によるアルカンや芳香族の消費とアルデヒドの生成による結果と考えられた。しかし、調査期間のうち日中も北西風であった日は、南東風であった日に比べOx濃度上昇は小さく、特に人為排出由来のアルカンや芳香族の濃度が相対的に低かった。夕方には南東風環境下でOx濃度が最も高くなり、同時にアルカン、芳香族、アルデヒドの濃度は...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 58; no. 6; pp. 99 - 108
Main Authors 坂本, 祥一, 熊谷, 貴美代, 田子, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 07.11.2023
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Summary:2022年6月末に関東地域で発生した光化学オキシダント(Ox)高濃度事象の期間において、群馬県前橋市で日中の時間分解能を上げた揮発性有機化合物(VOC)調査を実施した。日中では日射が増加する正午頃にかけてアルカンや芳香族濃度は減少し、アルデヒド濃度は増加していく変動を連日示した。光化学反応によるアルカンや芳香族の消費とアルデヒドの生成による結果と考えられた。しかし、調査期間のうち日中も北西風であった日は、南東風であった日に比べOx濃度上昇は小さく、特に人為排出由来のアルカンや芳香族の濃度が相対的に低かった。夕方には南東風環境下でOx濃度が最も高くなり、同時にアルカン、芳香族、アルデヒドの濃度は上昇した。これは南関東で排出された高濃度の人為起源VOCを含む気塊が、移流過程で光化学反応によってOxを生成し、さらに消費しきれなかったVOCを含む気塊が到達した結果と考えられた。関東内陸部におけるOx高濃度を低減するためには関東広域でのVOC対策が重要であると考えられた。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.58.99