甲状腺脂肪腺腫の一例

症例は75歳男性。前医CTで甲状腺左葉に腫瘍を指摘され,精査目的に当科を受診した。頸部超音波検査で左葉下極に最大径1.5cm大の腫瘍を認め,濾胞性腫瘍を疑い施行したFNAでは,慢性甲状腺疑いであった。頸部単純CT検査では腫瘍辺縁はリング状に低吸収,内部は等吸収で均一,頸部MRI検査では脂肪抑制T1強調像でリング状低信号を呈し,腫瘍辺縁は脂肪成分の存在を疑った。腫瘍径は小さかったが診断兼治療目的に左葉部分切除術を行った。病理組織学的検査で脂肪腺腫と最終診断した。甲状腺脂肪腺腫は間質に脂肪組織が混在する腫瘍で,濾胞腺腫の一亜型とされ,非常に稀である。脂肪腺腫は症例により脂肪量は様々だが,本症例では...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 4; pp. 288 - 293
Main Authors 大石, 一行, 松本, 学, 高畠, 大典, 大平, 咲, 澁谷, 祐一, 岩田, 純, 大谷, 悠介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.4_288

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Summary:症例は75歳男性。前医CTで甲状腺左葉に腫瘍を指摘され,精査目的に当科を受診した。頸部超音波検査で左葉下極に最大径1.5cm大の腫瘍を認め,濾胞性腫瘍を疑い施行したFNAでは,慢性甲状腺疑いであった。頸部単純CT検査では腫瘍辺縁はリング状に低吸収,内部は等吸収で均一,頸部MRI検査では脂肪抑制T1強調像でリング状低信号を呈し,腫瘍辺縁は脂肪成分の存在を疑った。腫瘍径は小さかったが診断兼治療目的に左葉部分切除術を行った。病理組織学的検査で脂肪腺腫と最終診断した。甲状腺脂肪腺腫は間質に脂肪組織が混在する腫瘍で,濾胞腺腫の一亜型とされ,非常に稀である。脂肪腺腫は症例により脂肪量は様々だが,本症例では脂肪含有率が5割程度あり,術前画像検査により脂肪成分の存在を疑うことが可能であった。稀な一例であり文献的考察を含めて報告する。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.4_288