透析患者の頭頸部癌再建手術症例の検討
維持透析中のがん患者に対する侵襲性の高い手術加療は敬遠される傾向にある。 われわれは2009年から2017年までに維持透析中の頭頸部癌患者に対し施行した, 遊離皮弁を用いた再建手術症例8例につき検討した。 原発部位は口腔2例, 中咽頭3例, 下咽頭2例, 喉頭1例で平均年齢60.8歳であった。 透析罹患平均期間は4.4年であり, IgA 腎症1例以外は何らかの心血管系の基礎疾患を有していた。 選択した再建皮弁は7例が遊離前外側大腿皮弁であり, 1例は遊離腹直筋皮弁であった。 平均手術時間は440分であり, 入院期間中央値は58日であった。 術後2日目より透析を開始し, 術後平均12日で経口摂取...
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Published in | 耳鼻咽喉科展望 Vol. 61; no. 5; pp. 256 - 261 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
耳鼻咽喉科展望会
15.10.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0386-9687 1883-6429 |
DOI | 10.11453/orltokyo.61.5_256 |
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Summary: | 維持透析中のがん患者に対する侵襲性の高い手術加療は敬遠される傾向にある。 われわれは2009年から2017年までに維持透析中の頭頸部癌患者に対し施行した, 遊離皮弁を用いた再建手術症例8例につき検討した。 原発部位は口腔2例, 中咽頭3例, 下咽頭2例, 喉頭1例で平均年齢60.8歳であった。 透析罹患平均期間は4.4年であり, IgA 腎症1例以外は何らかの心血管系の基礎疾患を有していた。 選択した再建皮弁は7例が遊離前外側大腿皮弁であり, 1例は遊離腹直筋皮弁であった。 平均手術時間は440分であり, 入院期間中央値は58日であった。 術後2日目より透析を開始し, 術後平均12日で経口摂取を開始した。 皮弁の壊死等, 再手術を必要とするような重篤な周術期合併症は認めなかった。 術後経過観察中に8例中4例が死亡 (原病死1例, 他病死3例), 5年全生存率は40% (95% 信頼区間 5.2~75%), 5年疾患特異的生存率は80% (95% 信頼区間 20~96%) であった。 |
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ISSN: | 0386-9687 1883-6429 |
DOI: | 10.11453/orltokyo.61.5_256 |