一酸化窒素(NO)の検出における高分子化鉄ポルフィリン錯体修飾の炭素電極

一酸化窒素(NO)は,内皮細胞由来弛緩因子(EDRF),神経情報伝達物質,免疫系メディエータなどとして働くので各種の生理条件下において重要な役割を担う.近年,NO の直接的かつ選択的な検出方法の発展により,生体での NO の役割について多くの興味が持たれている.特に,NO はスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)と容易に反応し,強い酸化障害性のペルオキシナイトライト(ONOO-)のような活性酸素種(ROS)・活性窒素種(RNS)を生成する.ROS・RNS は,炎症,動脈硬化症,癌などのような多くの病態に係わっている.したがって,NO の濃度検出は大きな研究課題となっている.筆者らは,グラ...

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Published in高分子論文集 Vol. 67; no. 2; pp. 97 - 103
Main Authors 湯浅, 真, 小林, ちひろ, 高橋, 甲子郎, 村田, 英則
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2010
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Summary:一酸化窒素(NO)は,内皮細胞由来弛緩因子(EDRF),神経情報伝達物質,免疫系メディエータなどとして働くので各種の生理条件下において重要な役割を担う.近年,NO の直接的かつ選択的な検出方法の発展により,生体での NO の役割について多くの興味が持たれている.特に,NO はスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-・)と容易に反応し,強い酸化障害性のペルオキシナイトライト(ONOO-)のような活性酸素種(ROS)・活性窒素種(RNS)を生成する.ROS・RNS は,炎症,動脈硬化症,癌などのような多くの病態に係わっている.したがって,NO の濃度検出は大きな研究課題となっている.筆者らは,グラッシーカーボン電極上に 1-メチルイミダゾールの配位したブロモ(鉄(III) 5,10,15,20-テトラキス(3-チエニル)ポルフィリン)錯体の電解重合膜を修飾した NO を検出できる電気化学的なセンサーを開発した.このセンサーは NO の酸化に対して著しい電極触媒活性を示した.さらに,NO 検出時に妨害物質となる亜硝酸イオン(NO2-)の影響を回避するため,この修飾電極上に Nafion® 膜を被覆した.センサーの NO 電流応答を 0.80 V vs. Ag/AgCl の電位で計測し,電流と NO 濃度の間に直線的な相関が得られ,さらに,妨害物質に対する選択性も見出された.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.67.97