社会を活かし, 人を動かす情報の与え方

人間は、情報の与えられ方で判断を変える。たとえば手術を受けねばならないときに、ふたつの手術プランを提案されたとする。A案:手術を受けた100人のうち、1年後に90人が生存している手術、B案:手術を受けた100人のうち、1年までに10人が亡くなる手術。どちらの案を選ぶかを調査すると、どちらも同じことをいっているにもかかわらず多くの人がA案を選ぶ。数字の見せ方で判断が変わるこの例を「フレーミング」という。情報の与え方で非合理的な判断や認知をすることを「認知バイアス」といい、このようなバイアスはほかにも数多くある。 人間は、「信号」のやりとりをするコンピュータと違い、「情報」の受け取り方にクセがある...

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Published in学術の動向 Vol. 27; no. 5; pp. 5_64 - 5_66
Main Author 川合, 伸幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本学術協力財団 01.05.2022
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ISSN1342-3363
1884-7080
DOI10.5363/tits.27.5_64

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Summary:人間は、情報の与えられ方で判断を変える。たとえば手術を受けねばならないときに、ふたつの手術プランを提案されたとする。A案:手術を受けた100人のうち、1年後に90人が生存している手術、B案:手術を受けた100人のうち、1年までに10人が亡くなる手術。どちらの案を選ぶかを調査すると、どちらも同じことをいっているにもかかわらず多くの人がA案を選ぶ。数字の見せ方で判断が変わるこの例を「フレーミング」という。情報の与え方で非合理的な判断や認知をすることを「認知バイアス」といい、このようなバイアスはほかにも数多くある。 人間は、「信号」のやりとりをするコンピュータと違い、「情報」の受け取り方にクセがある。そのクセを理解しなければ、自然環境と調和し、持続可能な社会を目指す合意を形成することはできない。環境や社会、人間の生存をまもるための道具として情報が活用されるためには、人間の情報処理の特性を理解する必要がある。
ISSN:1342-3363
1884-7080
DOI:10.5363/tits.27.5_64