平成 28 年熊本地震による金峰山西麓部棚田地帯の農地石垣の被災傾向

金峰山西麓部の棚田・段畑地域を調査対象地として、現地調査によって得られたデータをもとに、熊本地震による農地石垣の被災形態、規模、位置から農地石垣地震被災の特徴を検討した。その結果、熊本地震による農地石垣の崩壊形態・規模は、過去の豪雨災害と同程度であることが分かった。被災位置に関する検討では、農地石垣の被災位置は、調査対象地域全体の傾斜角度の分布よりも傾斜角度が大きな地点に分布していることが分かった。また、崩壊した農地石垣は北向きの法面を持つ農地石垣に卓越しており、これは、熊本地震本震における最大加速度が北向きに作用していたためであると考えられる。さらに、尾根・谷の指標から、熊本地震による農地石...

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Published in棚田学会誌 Vol. 19; pp. 72 - 82
Main Authors 岡島, 賢治, 加納, 奈樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 棚田学会 2018
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ISSN2436-1674
2758-4364
DOI10.57493/tanada.19.0_72

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Summary:金峰山西麓部の棚田・段畑地域を調査対象地として、現地調査によって得られたデータをもとに、熊本地震による農地石垣の被災形態、規模、位置から農地石垣地震被災の特徴を検討した。その結果、熊本地震による農地石垣の崩壊形態・規模は、過去の豪雨災害と同程度であることが分かった。被災位置に関する検討では、農地石垣の被災位置は、調査対象地域全体の傾斜角度の分布よりも傾斜角度が大きな地点に分布していることが分かった。また、崩壊した農地石垣は北向きの法面を持つ農地石垣に卓越しており、これは、熊本地震本震における最大加速度が北向きに作用していたためであると考えられる。さらに、尾根・谷の指標から、熊本地震による農地石垣の被災位置は調査対象地域全体と同じ尾根・谷の分布で被災していた。最後に、熊本地震による農地石垣の被災位置と、明治熊本地震において報告された被災の集中域は比較的近い傾向を示した。
ISSN:2436-1674
2758-4364
DOI:10.57493/tanada.19.0_72