エピソードの「三度の繰り返し」構造をもつ文学的な文章を対象とした,小学校教材・中学校教材の比較分析

小学校および中学校の国語教科書に採録される物語教材505作品を,エピソードの「三度の繰り返し」に着眼して読み,小学校と中学校の教材に見られる共通点や相違点を分析した。分析の結果,小学校と中学校ともに「単数型」が多いこと,その展開パターンは小学校よりも中学校が約2倍に増えることから,中学校の方が教材を読み解く難易度は上がること,教材の結末においては,小学校はハッピーエンドが約80%であるのに対し,中学校は約40%がソーリーエンドであることが分かった。ソーリーエンドは,その意味を多面的に問う機会が提供され,解釈は多義的になるため,中学校教材の方が解釈の多義性を有することが明らかになった。...

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Bibliographic Details
Published in読書科学 Vol. 64; no. 3-4; pp. 166 - 180
Main Author 尾矢, 貞雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本読書学会 20.10.2023
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ISSN0387-284X
2424-144X
DOI10.19011/sor.64.3-4_166

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Summary:小学校および中学校の国語教科書に採録される物語教材505作品を,エピソードの「三度の繰り返し」に着眼して読み,小学校と中学校の教材に見られる共通点や相違点を分析した。分析の結果,小学校と中学校ともに「単数型」が多いこと,その展開パターンは小学校よりも中学校が約2倍に増えることから,中学校の方が教材を読み解く難易度は上がること,教材の結末においては,小学校はハッピーエンドが約80%であるのに対し,中学校は約40%がソーリーエンドであることが分かった。ソーリーエンドは,その意味を多面的に問う機会が提供され,解釈は多義的になるため,中学校教材の方が解釈の多義性を有することが明らかになった。
ISSN:0387-284X
2424-144X
DOI:10.19011/sor.64.3-4_166