海水溶存二酸化炭素の連続計測のための光ファイバーセンサーの開発

海水溶存二酸化炭素を測定するための光ファイバーセンサーを作製した.このセンサーは光ファイバー, 気体透過膜, 蛍光指示薬溶液から成る.センサーに用いた蛍光指示薬は1-Hydroxypyrene-3, 6, 8-Trisulfonic Acid Trisodium Salt (HPTS) である.二酸化炭素は気体透過膜 (疎水性膜) を通じて拡散し, 蛍光指示薬溶液のpHを変化させる.その結果HPTSの水酸基から水素イオソがとれた形 (PTS4-) が発する蛍光の強度が変化する, HPTSの特性評価のための理論計算からpHが6.5-8.0の範囲で感度が最もよいことが分かった.そのため二酸化炭素の...

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Published in日本海水学会誌 Vol. 54; no. 1; pp. 21 - 29
Main Authors 須藤, 雅夫, 市川, 祥久, 居波, 永治, 岡島, 敬一, 鈴木, 款, 皆川, 昌幸, 金森, 敏幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本海水学会 2000
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Summary:海水溶存二酸化炭素を測定するための光ファイバーセンサーを作製した.このセンサーは光ファイバー, 気体透過膜, 蛍光指示薬溶液から成る.センサーに用いた蛍光指示薬は1-Hydroxypyrene-3, 6, 8-Trisulfonic Acid Trisodium Salt (HPTS) である.二酸化炭素は気体透過膜 (疎水性膜) を通じて拡散し, 蛍光指示薬溶液のpHを変化させる.その結果HPTSの水酸基から水素イオソがとれた形 (PTS4-) が発する蛍光の強度が変化する, HPTSの特性評価のための理論計算からpHが6.5-8.0の範囲で感度が最もよいことが分かった.そのため二酸化炭素の測定範囲において蛍光指示薬溶液のpHをこの範囲に調整することで感度を向上することができた.しかし蛍光物質の濃度が5×10-4kmol m-3以上では, 励起光の減衰の影響でpH依存性を示さなかった.二酸化炭素濃度変化 (0-600ppmv) に対する蛍光強度変化をCCDによって検出した.二酸化炭素濃度が0→100ppmvに変化する時の応答は100→200ppmv以上の変化よりも長時間を必要とした.プローブはチューブ型膜と平膜を用いた2種類作製した.応答時間は膜厚や蛍光指示薬溶液内の二酸化炭素の拡散距離に影響される.また多孔質PTFE膜 (孔径: 1.0μm, 膜厚: 85μm) を用いることで応答時間を短縮することができ, 二酸化炭素濃度の変化Δ100ppmv (二酸化炭素濃度が200ppmv以上の時) で10分の結果を得た.
ISSN:0369-4550
2185-9213
DOI:10.11457/swsj1965.54.21