千葉県鴨川市大山千枚田における早春季に繁殖する両生類の産卵動態

房総半島南部の大山千枚田において早春季に繁殖する両生類の産卵状況を長期モニタリング(二〇〇三~二〇一四年)した。年平均(N = 一二)では、トウキョウサンショウウオが約六七五卵嚢対、ニホンアカガエルが約六五〇卵塊、ヤマアカガエルが約一五卵塊で、特に前二種は大規模な個体群を形成していた。両種とも水田区画別の湿潤指数と産卵確認頻度と間に正の相関が認められ、水入れ等の水管理や滲み出し水に伴う水域の生じ易さが関与していると推察された。一方、湿潤指数と産卵数との関係は認められなかった。各地の中山間地域で耕作放棄の傾向が強まる中、本対象地では棚田オーナー制度により棚田景観が保全され、早春季に繁殖する両生類...

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Published in棚田学会誌 Vol. 19; pp. 58 - 71
Main Author 大澤, 啓志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 棚田学会 2018
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ISSN2436-1674
2758-4364
DOI10.57493/tanada.19.0_58

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Summary:房総半島南部の大山千枚田において早春季に繁殖する両生類の産卵状況を長期モニタリング(二〇〇三~二〇一四年)した。年平均(N = 一二)では、トウキョウサンショウウオが約六七五卵嚢対、ニホンアカガエルが約六五〇卵塊、ヤマアカガエルが約一五卵塊で、特に前二種は大規模な個体群を形成していた。両種とも水田区画別の湿潤指数と産卵確認頻度と間に正の相関が認められ、水入れ等の水管理や滲み出し水に伴う水域の生じ易さが関与していると推察された。一方、湿潤指数と産卵数との関係は認められなかった。各地の中山間地域で耕作放棄の傾向が強まる中、本対象地では棚田オーナー制度により棚田景観が保全され、早春季に繁殖する両生類の高い産卵密度が維持されていた。
ISSN:2436-1674
2758-4364
DOI:10.57493/tanada.19.0_58