一般化ペアワイズ比較による生存時間解析

生存時間を評価項目とするがん領域や循環器領域の医学系研究で,治療効果の指標としてNet BenefitやWin Ratioが利用されている.これらは一般化ペアワイズ比較に基づく指標として整理できる.一般化ペアワイズ比較では,新治療と標準治療を比較するランダム化比較試験の場合,各群から1人ずつをランダムに選んでできるペアに対する勝ち負けの確率を評価する.このとき,評価項目の大小関係に基づく様々な勝ち負けのルールを考えることができる.Net Benefitは勝ち負けの確率の差,Win Ratioは比として定義される指標である.本稿では,勝ち負けの確率,Net BenefitとWin Ratioの推...

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Published in日本統計学会誌 Vol. 52; no. 2; pp. 319 - 354
Main Authors 大庭, 幸治, 福田, 武蔵, 坂巻, 顕太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本統計学会 01.03.2023
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ISSN0389-5602
2189-1478
DOI10.11329/jjssj.52.319

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Summary:生存時間を評価項目とするがん領域や循環器領域の医学系研究で,治療効果の指標としてNet BenefitやWin Ratioが利用されている.これらは一般化ペアワイズ比較に基づく指標として整理できる.一般化ペアワイズ比較では,新治療と標準治療を比較するランダム化比較試験の場合,各群から1人ずつをランダムに選んでできるペアに対する勝ち負けの確率を評価する.このとき,評価項目の大小関係に基づく様々な勝ち負けのルールを考えることができる.Net Benefitは勝ち負けの確率の差,Win Ratioは比として定義される指標である.本稿では,勝ち負けの確率,Net BenefitとWin Ratioの推定方法を一般化ペアワイズ比較の観点から整理し,U統計量理論から導かれる漸近分散を説明する.また,打ち切りを含む生存時間における推定の問題と対処方法を説明する.最後に,Rパッケージによる実装方法を例示する.
ISSN:0389-5602
2189-1478
DOI:10.11329/jjssj.52.319