精神病理の症状と性格5因子モデルとの関係
本研究は, 抑うつ・不安・妄想的観念・強迫症状という主要な4つの精神病理的な症状を取り上げ, 症状の素因としての性格特性の視点から, 症状尺度の因子構造を肯定するのが目的である。研究1ではこれらの症状尺度について同時に因子分析し, どのような因子構造が見られるかを検討した。その結果, 第1因子: 負感情の妄想的観念の因子, 第2因子: 不安・抑うつ・強迫症状の「疑惑」・「確認」の因子, 第3因子: 正感情の妄想的観念の因子, 第4因子: 強迫症状の「清潔」・「緩慢」の因子の4つの因子が抽出された。研究2ではそれぞれの症状尺度が性格5因子モデルのどの特性と相関があるかを検討した。その結果, 因子...
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Published in | 教育心理学研究 Vol. 50; no. 1; pp. 65 - 72 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本教育心理学会
2002
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5015 2186-3075 |
DOI | 10.5926/jjep1953.50.1_65 |
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Summary: | 本研究は, 抑うつ・不安・妄想的観念・強迫症状という主要な4つの精神病理的な症状を取り上げ, 症状の素因としての性格特性の視点から, 症状尺度の因子構造を肯定するのが目的である。研究1ではこれらの症状尺度について同時に因子分析し, どのような因子構造が見られるかを検討した。その結果, 第1因子: 負感情の妄想的観念の因子, 第2因子: 不安・抑うつ・強迫症状の「疑惑」・「確認」の因子, 第3因子: 正感情の妄想的観念の因子, 第4因子: 強迫症状の「清潔」・「緩慢」の因子の4つの因子が抽出された。研究2ではそれぞれの症状尺度が性格5因子モデルのどの特性と相関があるかを検討した。その結果, 因子内の症状との相関はそれぞれの因子内でほぼ同じ相関のパターンを示していることが明らかになった。次に研究3で症状の潜在変数と性格特性との相関が検討された。その結果, 因子間で相関のパターンが異なっていることが分かり, 素因としての性格特性の影響を反映した因子構造が得られた。 |
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ISSN: | 0021-5015 2186-3075 |
DOI: | 10.5926/jjep1953.50.1_65 |