群馬県平野部および山岳部における微小粒子状物質の季節特性

関東平野の内陸に位置する群馬県前橋市および赤城山において,大気中粒子状物質を粒径別(<2.1μm,2.1-11 μm,> 11 μm)に捕集し,無機イオン成分,炭素成分分析を行った。炭素成分分析では,熱分離法と熱光学補正法の比較により補正を行った。微小粒子濃度の年平均値は,前橋で20.2~22.7 μg/m3,赤城で8.2~10.5 μg/m3であった。微小粒子濃度は春から夏にかけて高濃度となる季節変動を示した。微小粒子における無機イオン成分の96%は,NO3-,SO42-,NH4+であった。前橋も赤城も粒子濃度は同様の変動パターンを示した。前橋では春にNO3-が大きく増加するとい...

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Published in大気環境学会誌 Vol. 45; no. 1; pp. 10 - 20
Main Authors 坂本, 和彦, 田子, 博, 小澤, 邦壽, 熊谷, 貴美代, 飯島, 明宏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 大気環境学会 2010
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ISSN1341-4178
2185-4335
DOI10.11298/taiki.45.10

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Summary:関東平野の内陸に位置する群馬県前橋市および赤城山において,大気中粒子状物質を粒径別(<2.1μm,2.1-11 μm,> 11 μm)に捕集し,無機イオン成分,炭素成分分析を行った。炭素成分分析では,熱分離法と熱光学補正法の比較により補正を行った。微小粒子濃度の年平均値は,前橋で20.2~22.7 μg/m3,赤城で8.2~10.5 μg/m3であった。微小粒子濃度は春から夏にかけて高濃度となる季節変動を示した。微小粒子における無機イオン成分の96%は,NO3-,SO42-,NH4+であった。前橋も赤城も粒子濃度は同様の変動パターンを示した。前橋では春にNO3-が大きく増加するという特徴が見られた。しかしNO3-は赤城では低濃度であったことから,前橋におけるNH3ガスがNO3-粒子生成に影響していると示唆された。SO42-は夏に高濃度となる変動を示した。赤城でも前橋の8割程度のSO42-が観測され,SO42-粒子は広域的に存在することが分かった。マスクロージャーモデルを用いて,成分濃度から粒子質量濃度を推定した結果,実測値と同等の結果が得られた。モデル推定値から,粒子濃度の成分構成を季節毎に求めたところ,二次生成粒子と有機物が微小粒子の8割を占めると推定された。ECの寄与率は1割程度であった。春は,NO3-,SO42-粒子,夏秋はSO42-と有機物の寄与率が大きいことが分かった。
ISSN:1341-4178
2185-4335
DOI:10.11298/taiki.45.10