非外科的歯内療法が行われた根尖性歯周炎罹患歯の予後についての後ろ向き研究 根管充塡時の根尖サイズがISO規格55号以上の根尖性歯周炎罹患歯の予後に影響を及ぼす因子の探索
目的:根尖性歯周炎の治療予後は多くの因子の影響を受ける.これまでにわれわれは,根管充塡時の根尖サイズがISO規格55号以上に拡大された根尖性歯周炎罹患歯の予後不良の割合は,ISO規格50号以下の場合と比べ有意に高いことを報告した.本研究では,根管充塡時の根尖サイズが55号以上の根尖性歯周炎罹患歯の予後に影響を及ぼす因子を探索した. 方法:2009年10月から2022年1月の間に,広島大学病院歯科保存診療科と歯周診療科で根尖性歯周炎と診断された患者のなかで,単根管かつ根尖部がISO規格のガッタパーチャポイント55号以上に拡大されており,ガッタパーチャポイントと根管充塡用シーラーで根管充塡された5...
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Published in | 日本歯科保存学雑誌 Vol. 67; no. 3; pp. 157 - 164 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
30.06.2024
日本歯科保存学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0387-2343 2188-0808 |
DOI | 10.11471/shikahozon.67.157 |
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Summary: | 目的:根尖性歯周炎の治療予後は多くの因子の影響を受ける.これまでにわれわれは,根管充塡時の根尖サイズがISO規格55号以上に拡大された根尖性歯周炎罹患歯の予後不良の割合は,ISO規格50号以下の場合と比べ有意に高いことを報告した.本研究では,根管充塡時の根尖サイズが55号以上の根尖性歯周炎罹患歯の予後に影響を及ぼす因子を探索した. 方法:2009年10月から2022年1月の間に,広島大学病院歯科保存診療科と歯周診療科で根尖性歯周炎と診断された患者のなかで,単根管かつ根尖部がISO規格のガッタパーチャポイント55号以上に拡大されており,ガッタパーチャポイントと根管充塡用シーラーで根管充塡された52歯の根尖性歯周炎罹患歯を対象(対象人数は35人(年齢中央値53,四分位範囲45.25~68))として,予後に関わる因子を後ろ向きに分析した.予後不良は,根管治療前と経過観察時のデンタルエックス線画像を比較し,根尖部透過像が不変あるいは拡大の場合に加えて,根管充塡後に症状が増悪し,再根管治療,外科的歯内治療および抜歯した場合とした.一方,予後良好は,根尖部透過像が消失あるいは縮小の場合とした.調査因子は,年齢,性別,歯種,初回治療前の症状の有無,治療の種類,初回治療前に撮影したデンタルエックス線画像における根尖部透過像の有無と大きさ,および根管充塡時の根尖部根管充塡材料の位置とガッタパーチャポイントの号数とした. 結果:調査した因子のなかで予後に影響を与えた因子は,初回治療前の症状であり,その他の因子は予後に影響を及ぼさなかった.初回治療前の症状がなかった群では予後不良は5歯(9.62%),予後良好が16歯(30.77%)であった.一方,症状があった群では予後不良は19歯(36.54%),予後良好が12歯(23.08%)であり,両群間の治療予後に有意差があった.さらに初回治療前に認められた症状のなかで,歯肉腫脹が最も治療予後に関連している因子であった. 結論:根尖サイズが55号以上に拡大された根尖性歯周炎罹患歯において,治療前の症状のなかで歯肉腫脹が予後に関わる因子になりうることが示された. |
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ISSN: | 0387-2343 2188-0808 |
DOI: | 10.11471/shikahozon.67.157 |