カリックスアレン包接化合物の合成と燃焼特性

大環状包接化合物の中でも特徴的な構造を有するCalix[8]areneおよびその遷移金属錯体を調整し, polypropylene (PP), polycarbonate (PC) およびpolybutylene terephthalate (PBT) に添加して燃焼特性の変化を測定した. 錯形成定数をEDTAのような一般的な有機配位子の場合と比較したところ, 錯形成率はイオン半径に比例し, 銅イオンの場合, 85%ともっとも高い錯形成率を示した. 調整したCalix[8]areneおよび錯体を1~5wt%程度, 高分子材料に添加して燃焼実験, 熱流束測定および熱重量分析を行った. その結果,...

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Published in高分子論文集 Vol. 63; no. 2; pp. 124 - 134
Main Authors 石川, 朝之, 水野, 孝志郎, 宮地, 保好, 行本, 正雄, 武田, 邦彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 高分子学会 2006
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Summary:大環状包接化合物の中でも特徴的な構造を有するCalix[8]areneおよびその遷移金属錯体を調整し, polypropylene (PP), polycarbonate (PC) およびpolybutylene terephthalate (PBT) に添加して燃焼特性の変化を測定した. 錯形成定数をEDTAのような一般的な有機配位子の場合と比較したところ, 錯形成率はイオン半径に比例し, 銅イオンの場合, 85%ともっとも高い錯形成率を示した. 調整したCalix[8]areneおよび錯体を1~5wt%程度, 高分子材料に添加して燃焼実験, 熱流束測定および熱重量分析を行った. その結果, 燃焼実験ではFeおよびCu錯体に燃焼抑制効果が見られた. 特にPCの場合, Fe錯体の抑制効果が顕著で着火時間が長くなり, 約4秒で消炎した. PPおよびPBTにおいては燃焼実験での差が小さかったが, 燃焼時の熱流束には差が認められた. またPBTにCu錯体を添加した材料においては添加量と燃焼抑制との間に比例関係が見いだされなかった. 熱重量分析とともに結果を整理し, 高分子の熱分解に視点をあてて解析を行った.
ISSN:0386-2186
1881-5685
DOI:10.1295/koron.63.124