細菌の走光性を解明する

桿状の形をとる古細菌Halobacterium salinarum は,両極にある鞭毛(極毛)の運動を調節して直進運動とスイッチバックを繰り返す.光に対しては,赤色系の光に近づき,青色系の光から逃げる走光性を示す.80 年代前半に単離されたその光センサーはロドプシン様のレチナールタンパク質であり,隣接するトランスデューサータンパク質が細胞内にシグナルを伝える.数々の分光学的測定が行われて多くのことが分かってきたが,光センサー/トランスデューサー間のシグナル伝達は,その分子機構の一部がようやく見えて来た段階である.この解析に少なからず関与した我々の成果も交え,現状を解説する....

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Published inバイオメカニズム学会誌 Vol. 35; no. 4; pp. 224 - 232
Main Authors 奈良, 敏文, 田母神, 淳, 加茂, 直樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published バイオメカニズム学会 2011
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Summary:桿状の形をとる古細菌Halobacterium salinarum は,両極にある鞭毛(極毛)の運動を調節して直進運動とスイッチバックを繰り返す.光に対しては,赤色系の光に近づき,青色系の光から逃げる走光性を示す.80 年代前半に単離されたその光センサーはロドプシン様のレチナールタンパク質であり,隣接するトランスデューサータンパク質が細胞内にシグナルを伝える.数々の分光学的測定が行われて多くのことが分かってきたが,光センサー/トランスデューサー間のシグナル伝達は,その分子機構の一部がようやく見えて来た段階である.この解析に少なからず関与した我々の成果も交え,現状を解説する.
ISSN:0285-0885
DOI:10.3951/sobim.35.224