複数キーワードオークションにおける均衡分析―2人の広告主の入札値が同じケース

本研究では複数の検索語句を扱うキーワードオークション(複数キーワードオークション)において,グルーピングの導入がオークションの均衡にどのような影響をもたらすかを分析する.本研究ではDhangwatnotaiが導入したグルーピングという手法を用いて,入札者である広告主が2人いるような複数キーワードオークションにおける均衡分析を行った.均衡分析の結果,広告主の評価値を加重平均した値(WAV)を入札する戦略が重要な役割を果たすことが分かった.特にグループが1つのケースではすべてのナッシュ均衡を図示することが可能であり,WAVを入札する戦略が支配戦略均衡となった.またグループが2つのケースでは,2人の...

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Published in日本オペレーションズ・リサーチ学会和文論文誌 Vol. 64; pp. 204 - 228
Main Author 中川, 彩野
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本オペレーションズ・リサーチ学会 2021
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Summary:本研究では複数の検索語句を扱うキーワードオークション(複数キーワードオークション)において,グルーピングの導入がオークションの均衡にどのような影響をもたらすかを分析する.本研究ではDhangwatnotaiが導入したグルーピングという手法を用いて,入札者である広告主が2人いるような複数キーワードオークションにおける均衡分析を行った.均衡分析の結果,広告主の評価値を加重平均した値(WAV)を入札する戦略が重要な役割を果たすことが分かった.特にグループが1つのケースではすべてのナッシュ均衡を図示することが可能であり,WAVを入札する戦略が支配戦略均衡となった.またグループが2つのケースでは,2人の広告主が同じ値を入札するという均衡の必要十分条件を導出した.さらに均衡における検索エンジンの利潤と社会余剰をグルーピングのしかたによって比較した結果,グルーピングを導入したほうが検索エンジンの利潤が上がるが,社会余剰は下がることが明らかになった.
ISSN:1349-8940
2188-8280
DOI:10.15807/torsj.64.204