高齢者大腸癌の臨床病理学的検討

高齢化社会への変革に伴ない, 高齢者大腸癌症例も増加の傾向にある.われわれは高齢者大腸癌の特徴をみる目的で, 75歳以上を高齢者とし, 75歳未満の非高齢者と臨床病理学的に比較検討した.対象は, 1982年より1987年末までの6年間に当科で経験した大腸癌症例201例であり, このうち高齢者は30例 (14.9%) であった.高齢者大腸癌の特徴は, 女性に多いこと, 病脳期間が長期に渡るものも多いこと, 腫瘍占拠部位は右側に多いこと, 癌の進行程度は早期のものが少ない反面, 高度に進行した例も少ないことであった.またその治療に関しては, 手術侵襲, 安全性を考えた術式が多い傾向があり, 一層の...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 43; no. 1; pp. 118 - 122
Main Authors 加藤, 博之, 梶原, 哲郎, 丸山, 規雄, 梅田, 浩, 森, 正樹, 芳賀, 駿介, 松本, 紀夫, 高橋, 直樹, 小豆畑, 博, 飯田, 富雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本大腸肛門病学会 1990
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.43.118

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Summary:高齢化社会への変革に伴ない, 高齢者大腸癌症例も増加の傾向にある.われわれは高齢者大腸癌の特徴をみる目的で, 75歳以上を高齢者とし, 75歳未満の非高齢者と臨床病理学的に比較検討した.対象は, 1982年より1987年末までの6年間に当科で経験した大腸癌症例201例であり, このうち高齢者は30例 (14.9%) であった.高齢者大腸癌の特徴は, 女性に多いこと, 病脳期間が長期に渡るものも多いこと, 腫瘍占拠部位は右側に多いこと, 癌の進行程度は早期のものが少ない反面, 高度に進行した例も少ないことであった.またその治療に関しては, 手術侵襲, 安全性を考えた術式が多い傾向があり, 一層の予後の向上のためには十分な配慮のもとに, より根治を目指した手術の選択を行い, 治癒切除率を高めることが必要であると思われた.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.43.118