日本における「のり面緑化工」の起源と変遷について

本研究では日本の緑化工の大きな潮流を「古墳・墳丘」,「造林」,「築堤・護岸」,「土塁・土手」,「砂防」の5分類し,わが国ののり面緑化工の起源と変遷史をまとめた。その結果,これまでの定説とされてきた17世紀よりはるか以前の1世紀内外あるいは718年にまで遡り,さまざまな傾斜地を固定し,侵食・崩壊を防ぐため各種の植物による緑化が施されていた記録が明らかとなった。この流れを受け,明治維新以前には砂防に係る緑化工法が概ね確立され,さらに明治以降,海外技術も導入され,今日ののり面緑化工の礎が形成されたものと思われた。なお,4世紀頃の古墳築造技術の中には現在の土壌シードバンク( 表土の播き出し) 工法の原...

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Published in日本緑化工学会誌 Vol. 36; no. 1; pp. 15 - 20
Main Authors 飯塚, 隼弘, 近藤, 三雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本緑化工学会 2010
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Summary:本研究では日本の緑化工の大きな潮流を「古墳・墳丘」,「造林」,「築堤・護岸」,「土塁・土手」,「砂防」の5分類し,わが国ののり面緑化工の起源と変遷史をまとめた。その結果,これまでの定説とされてきた17世紀よりはるか以前の1世紀内外あるいは718年にまで遡り,さまざまな傾斜地を固定し,侵食・崩壊を防ぐため各種の植物による緑化が施されていた記録が明らかとなった。この流れを受け,明治維新以前には砂防に係る緑化工法が概ね確立され,さらに明治以降,海外技術も導入され,今日ののり面緑化工の礎が形成されたものと思われた。なお,4世紀頃の古墳築造技術の中には現在の土壌シードバンク( 表土の播き出し) 工法の原点とも思われるような試みの記述もあった。
ISSN:0916-7439
0916-7439
DOI:10.7211/jjsrt.36.15