寛骨臼形成不全に対する寛骨臼移動術の20年成績 手術時年齢は長期の関節温存率に影響を与えるか

【はじめに】本研究の目的は,当院で施行した寛骨臼移動術(TOA)の術後20年以上の長期成績を調査し,関節温存に関連する影響因子を明らかにすることである.【方法】1996-2005年に当院でTOAを施行した患者で追跡可能であった159例172股(平均観察期間21年)を対象とした.THA conversionをエンドポイントとしたときの累積温存率を,Kaplan-Meier生存分析を用いて調査した.関節温存に関連する影響因子は,単変量および多変量Cox回帰分析を用いて調査した.【結果】31例33股がTHA conversionとなり,術後20年の累積温存率は79.7%であった.多変量解析では,術前...

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Published in整形外科と災害外科 Vol. 72; no. 1; pp. 24 - 27
Main Authors 石橋, 正二郎, 北村, 健二, 山手, 智志, 佐藤, 太志, 川原, 慎也, 池村, 聡, 藤井, 政徳, 濵井, 敏, 本村, 悟朗, 中島, 康晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 西日本整形・災害外科学会 25.03.2023
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Summary:【はじめに】本研究の目的は,当院で施行した寛骨臼移動術(TOA)の術後20年以上の長期成績を調査し,関節温存に関連する影響因子を明らかにすることである.【方法】1996-2005年に当院でTOAを施行した患者で追跡可能であった159例172股(平均観察期間21年)を対象とした.THA conversionをエンドポイントとしたときの累積温存率を,Kaplan-Meier生存分析を用いて調査した.関節温存に関連する影響因子は,単変量および多変量Cox回帰分析を用いて調査した.【結果】31例33股がTHA conversionとなり,術後20年の累積温存率は79.7%であった.多変量解析では,術前病期が唯一の有意な影響因子であり,リスク比は2.69(p=0.003)だった.一方,年齢は影響因子ではなかった(p=0.153).手術時年齢を考慮して術前病期別に比較したところ,前・初期では45歳未満が89.8%,45歳以上が86.2%と年齢に関わらず(p=0.62),良好な結果を示した.一方で,進行期では45歳未満が66.7%,45歳以上51.1%と年齢に関わらず(p=0.75),前・初期よりも関節温存率は低かった.【考察】寛骨臼形成不全に対するTOAにおいて,長期での良好な関節温存を得るためには,術前病期が前期・初期であることが重要であり,手術時の年齢は影響しなかった.
ISSN:0037-1033
1349-4333
DOI:10.5035/nishiseisai.72.24