小腸穿孔を生じたアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例

症例は74歳の男性で,気管支喘息にて加療中であった.2007年7月より下痢,便秘,腹痛が出現し当院外来を受診した.アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis;以下,AGA)が疑われ当院内科に入院した.入院後メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法1,000 mg/dayを3日間施行し,その後プレドニゾロン50 mg/dayの内服にて経過観察中であった.入院後10日目より腹痛が増強し,CTでfree airを認めたため当院外科で緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内は腸管内容物で汚染されており,Treitz靭帯より肛門側約280 cmの腸間膜側に...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 5; pp. 546 - 550
Main Authors 矢永, 勝彦, 北川, 和男, 河野, 修三, 岡本, 友好, 前田, 剛志, 大木, 隆生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2009
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.546

Cover

More Information
Summary:症例は74歳の男性で,気管支喘息にて加療中であった.2007年7月より下痢,便秘,腹痛が出現し当院外来を受診した.アレルギー性肉芽腫性血管炎(allergic granulomatous angiitis;以下,AGA)が疑われ当院内科に入院した.入院後メチルプレドニゾロンによるステロイドパルス療法1,000 mg/dayを3日間施行し,その後プレドニゾロン50 mg/dayの内服にて経過観察中であった.入院後10日目より腹痛が増強し,CTでfree airを認めたため当院外科で緊急手術を施行した.開腹時,腹腔内は腸管内容物で汚染されており,Treitz靭帯より肛門側約280 cmの腸間膜側に穿孔部を認めた.また,Treitz靭帯より肛門側110 cmから腸管の色調変化をskip lesionとして認め,140 cmの部位に穿孔寸前を疑わせる病変を認めた.潰瘍は漿膜筋層縫合し,穿孔部を回腸人工肛門とした.術後7日目より経口摂取を開始し術後38日目に退院した.消化管穿孔を合併するAGAは予後不良のことが多く,状況に応じた術式選択が必要である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.546