左上顎洞に発生した血管外皮腫 (Hemangiopericytoma) の1例

左上顎洞に発生した血管外皮腫 (hemangiopericytoma) の1例を経験した. 本腫瘍は毛細血管周囲を取りまく血管外皮細胞から発生する腫瘍で稀であり, 本邦では10例が報告されている. 腫瘍は左上顎洞から左鼻腔に進展し, 左鯖骨洞にもおよんでいた. 病理学的確定診断の後, 栄養動脈である左上顎動脈の塞栓術を施行し, 外科的切除, 術中照射および術後照射を行つた. 鼻・副鼻腔に発生した本腫瘍の予後は必ずしも良好ではない。本症例は術後10ヵ月を経過しているが, 腫瘍の再発を認めていない. 今後厳重な経過観察を要すると考えられる....

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Published in耳鼻と臨床 Vol. 38; no. 2; pp. 75 - 78
Main Authors 古謝, 静男, 長田, 紀与志, 渡口, 明, 滝澤, 義和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻と臨床会 1992
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Summary:左上顎洞に発生した血管外皮腫 (hemangiopericytoma) の1例を経験した. 本腫瘍は毛細血管周囲を取りまく血管外皮細胞から発生する腫瘍で稀であり, 本邦では10例が報告されている. 腫瘍は左上顎洞から左鼻腔に進展し, 左鯖骨洞にもおよんでいた. 病理学的確定診断の後, 栄養動脈である左上顎動脈の塞栓術を施行し, 外科的切除, 術中照射および術後照射を行つた. 鼻・副鼻腔に発生した本腫瘍の予後は必ずしも良好ではない。本症例は術後10ヵ月を経過しているが, 腫瘍の再発を認めていない. 今後厳重な経過観察を要すると考えられる.
ISSN:0447-7227
2185-1034
DOI:10.11334/jibi1954.38.2_75