直腸癌術後の異時性肺・甲状腺・膵・肝転移を切除し長期生存が得られた1例

直腸癌の甲状腺,膵転移はそれぞれ比較的まれであり,同一症例に異時性に認め,切除された報告はない.今回,直腸癌術後,肺,甲状腺,膵臓,肝臓に異時性に転移を来し,切除し長期生存が得られた症例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で,1998年,直腸癌(Rb)に対して低位前方切除術,D3郭清を施行した.その後,肺転移が出現し2回にわたり肺部分切除術施行した.初回手術6年11か月後,甲状腺転移に対し右葉切除術施行,同8年2か月後,膵転移に対し膵体尾部切除術施行,同9年3か月後,肝転移に対し肝部分切除術施行した.いずれも病理組織学的検査で原発巣と類似した中分化型腺癌で直腸癌からの転移と診断された.現...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 9; pp. 977 - 985
Main Authors 岩内, 武彦, 竹内, 一浩, 井関, 康仁, 木下, 春人, 西居, 孝文, 日月, 亜紀子, 小坂, 錦司, 内間, 恭武, 田中, 肇
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.09.2012
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Summary:直腸癌の甲状腺,膵転移はそれぞれ比較的まれであり,同一症例に異時性に認め,切除された報告はない.今回,直腸癌術後,肺,甲状腺,膵臓,肝臓に異時性に転移を来し,切除し長期生存が得られた症例を経験したので報告する.症例は71歳の男性で,1998年,直腸癌(Rb)に対して低位前方切除術,D3郭清を施行した.その後,肺転移が出現し2回にわたり肺部分切除術施行した.初回手術6年11か月後,甲状腺転移に対し右葉切除術施行,同8年2か月後,膵転移に対し膵体尾部切除術施行,同9年3か月後,肝転移に対し肝部分切除術施行した.いずれも病理組織学的検査で原発巣と類似した中分化型腺癌で直腸癌からの転移と診断された.現在,原発巣切除から12年経過したが再発は認めず健在である.直腸癌の多臓器転移において,それが異時性に生じてくる症例は,根治が得られるのであれば積極的な外科切除を試みる価値があると考える.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.977