イレウスで発症した大網,小網原発の多発性筋線維芽細胞腫の1例

症例は40歳の男性で,腹痛を主訴に来院した.腹部CTにて多発腫瘤による小腸イレウスと腹水を認め,絞扼性イレウスも否定できないため緊急手術を施行した.臍直下の大網辺縁に膿苔を伴い小腸を圧迫する径4.5 cm大の腫瘤を認め,腫瘤切除を行い,イレウスを解除した.また径5 cm大の腫瘤を小網にも認め,切除を行った.さらに,大網,小網,腸間膜表面に多数の白色小結節を認めた.摘出された腫瘤は,大網部が5.0×3.5 cm,小網部が5.0×4.6 cmで両者とも表面は多結節様の腫瘤であった.腫瘤の病理組織学的検査では,大網,小網原発のinflammatory myofibroblastic tumor(以下...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 7; pp. 809 - 815
Main Authors 安田, 誠一, 橋田, 修平, 赤松, 信, 寺村, 康史, 武田, 佳久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.809

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Summary:症例は40歳の男性で,腹痛を主訴に来院した.腹部CTにて多発腫瘤による小腸イレウスと腹水を認め,絞扼性イレウスも否定できないため緊急手術を施行した.臍直下の大網辺縁に膿苔を伴い小腸を圧迫する径4.5 cm大の腫瘤を認め,腫瘤切除を行い,イレウスを解除した.また径5 cm大の腫瘤を小網にも認め,切除を行った.さらに,大網,小網,腸間膜表面に多数の白色小結節を認めた.摘出された腫瘤は,大網部が5.0×3.5 cm,小網部が5.0×4.6 cmで両者とも表面は多結節様の腫瘤であった.腫瘤の病理組織学的検査では,大網,小網原発のinflammatory myofibroblastic tumor(以下,IMTと略記)と診断され,多数の白色結節は炎症性腫瘤であった.本邦で大網,小網を原発とする多発性IMTは極めてまれであり,腸管外原発でイレウスにより発見された症例は検索した範囲内で自験例が初めてであった.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.809