肝門部胆管癌と鑑別困難であった肝門部限局性非特異性慢性胆管炎の2手術例

肝門部胆管癌と診断し肝外胆管切除を伴う肝葉切除を施行した良性胆道狭窄の2例を報告する.いずれの症例も黄疸を主訴に他院にて胆道ドレナージを受けた後,来院した.右肝管を中心に著明な狭窄像を呈し,CTでは腹腔内リンパ節腫大が目立った.膵臓には異常所見を診断しえなかった.また,胆管像では進行性硬化性胆管炎に特徴的な所見を認めず臨床症状,画像検査所見からは良性疾患と診断しえなかった.いずれの症例も肝右葉切除,尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織学的検討ではいずれも粘膜下に著明なlymphoplasmacytic inflammatory infiltrationを認める慢性胆管炎の所見でIgG...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 2; pp. 160 - 165
Main Authors 伊神, 剛, 横山, 幸浩, 渡邊, 真哉, 江畑, 智希, 梛野, 正人, 西尾, 秀樹, 菅原, 元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.02.2010
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.43.160

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Summary:肝門部胆管癌と診断し肝外胆管切除を伴う肝葉切除を施行した良性胆道狭窄の2例を報告する.いずれの症例も黄疸を主訴に他院にて胆道ドレナージを受けた後,来院した.右肝管を中心に著明な狭窄像を呈し,CTでは腹腔内リンパ節腫大が目立った.膵臓には異常所見を診断しえなかった.また,胆管像では進行性硬化性胆管炎に特徴的な所見を認めず臨床症状,画像検査所見からは良性疾患と診断しえなかった.いずれの症例も肝右葉切除,尾状葉切除,肝外胆管切除術を施行した.病理組織学的検討ではいずれも粘膜下に著明なlymphoplasmacytic inflammatory infiltrationを認める慢性胆管炎の所見でIgG4免疫染色検査は陰性であった.肝門部胆管狭窄病変を診断する際には,本報告で示したような症例があることを常に念頭におき,慎重な対応を心がける必要がある.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.43.160