血友病を合併したBasedow病の1手術例
血友病を合併したBasedow病の症例は非常に稀である。今回われわれは甲状腺全摘出術を施行した1例を経験したので報告する。症例は25歳男性。内服コンプライアンスが不良であり,本人が手術を希望したため当院に紹介された。血友病に対しては,遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤を生下時より定期注射しており,凝固因子活性検査第Ⅷ因子は1%未満で重症と判定されたが,日常生活には支障なかった。インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン2013に沿って,周術期の凝固因子製剤を投与した。凝固因子製剤のボーラス輸注では目標トラフ因子レベルを下回る時間帯が存在するため,持続静注を併用することとした。手術...
Saved in:
Published in | 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 61 - 64 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会
2018
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2186-9545 |
DOI | 10.11226/jaesjsts.35.1_61 |
Cover
Summary: | 血友病を合併したBasedow病の症例は非常に稀である。今回われわれは甲状腺全摘出術を施行した1例を経験したので報告する。症例は25歳男性。内服コンプライアンスが不良であり,本人が手術を希望したため当院に紹介された。血友病に対しては,遺伝子組換え型血液凝固第Ⅷ因子製剤を生下時より定期注射しており,凝固因子活性検査第Ⅷ因子は1%未満で重症と判定されたが,日常生活には支障なかった。インヒビターのない血友病患者に対する止血治療ガイドライン2013に沿って,周術期の凝固因子製剤を投与した。凝固因子製剤のボーラス輸注では目標トラフ因子レベルを下回る時間帯が存在するため,持続静注を併用することとした。手術中も持続投与は継続した。手術中は止血に難渋することなく終了した。術後経過良好であり,術後再出血は認めなかった。血友病を合併したBasedow病に手術療法を選択した例は本邦では報告がなく症例の蓄積と検討が必要と考えられる。 |
---|---|
ISSN: | 2186-9545 |
DOI: | 10.11226/jaesjsts.35.1_61 |