多発小腸穿孔により大量小腸切除を要したアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例
症例は気管支喘息治療中の58歳の男性で,2か月前より腹痛を認めていたが,白血球数40,200/μl(好酸球68%),CRP 18.6 mg/dlと上昇,右上下肢神経障害認め,アレルギー性肉芽腫性血管炎が疑われた.プレドニゾロン45 mg/day,アスピリン100 mg/day,ベラプロストナトリウム120 μg/dayの内服を開始するも下腹部に激痛認め当院総合診療科紹介受診,腹部造影CTにてfree air認め小腸穿孔の疑いで外科紹介となった.身体所見は血圧109/77 mmHg,脈拍数136 bpm,体温37.5度,るい痩著明で腹部全体に筋性防御を認めた.血液検査所見は白血球数29,600/...
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Published in | 日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 8; pp. 865 - 874 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器外科学会
01.08.2012
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Summary: | 症例は気管支喘息治療中の58歳の男性で,2か月前より腹痛を認めていたが,白血球数40,200/μl(好酸球68%),CRP 18.6 mg/dlと上昇,右上下肢神経障害認め,アレルギー性肉芽腫性血管炎が疑われた.プレドニゾロン45 mg/day,アスピリン100 mg/day,ベラプロストナトリウム120 μg/dayの内服を開始するも下腹部に激痛認め当院総合診療科紹介受診,腹部造影CTにてfree air認め小腸穿孔の疑いで外科紹介となった.身体所見は血圧109/77 mmHg,脈拍数136 bpm,体温37.5度,るい痩著明で腹部全体に筋性防御を認めた.血液検査所見は白血球数29,600/μl,CRP 24.6 mg/dlと高度の炎症所見上昇を認めた.以上より小腸穿孔による汎発性腹膜炎と診断し緊急手術を施行した.手術所見はTreitz靭帯から回腸終末約30 cmに至るまでの小腸腸間膜対側壁がとび石状に壊死および穿孔所見を呈する多発小腸穿孔・壊死および汎発性腹膜炎の状態であったため,小腸亜全摘術,腹腔ドレナージ術,胃瘻および腸瘻造設術を施行した.現在術後20か月が経過するがプレドニゾロン10 mg/day内服にて全身状態は良好である.小腸穿孔を伴うアレルギー性肉芽腫性血管炎の報告は少なく,なかでも広範囲な多発小腸穿孔による大量小腸切除例の報告は極めてまれである.今回,我々は貴重な症例を経験できたので若干の文献的考察を含め報告する. |
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ISSN: | 0386-9768 1348-9372 |
DOI: | 10.5833/jjgs.45.865 |