周術期にニンテダニブからピルフェニドンへ薬剤変更した特発性肺線維症合併肺癌の一切除例

背景.抗線維化薬であるニンテダニブとピルフェニドンは特発性肺線維症の治療に重要である.また,特発性肺線維症合併肺癌の手術は,急性増悪の危険性があり慎重な対応を要する.症例.68歳,男性.5年5ヵ月前に特発性肺線維症合併肺癌に対し右下葉切除および右上葉楔状切除術を施行し,切除肺に病理学的に通常型間質性肺炎所見を認めた.術後5年頃に特発性肺線維症が進行しニンテダニブによる治療を開始,同時期に左肺下葉異時性重複肺癌を疑う病変を認め手術の方針となった.特発性肺線維症に対しては周術期も抗線維化薬の継続が望ましいと判断したが,ニンテダニブは創傷治癒遅延の可能性があり周術期の安全性は確立されていないため,周...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 446 - 452
Main Authors 松井, 由紀子, 植松, 靖文, 山本, 高義, 岩田, 剛和, 安部, 光洋, 小野里, 優希
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.07.2024
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.446

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Summary:背景.抗線維化薬であるニンテダニブとピルフェニドンは特発性肺線維症の治療に重要である.また,特発性肺線維症合併肺癌の手術は,急性増悪の危険性があり慎重な対応を要する.症例.68歳,男性.5年5ヵ月前に特発性肺線維症合併肺癌に対し右下葉切除および右上葉楔状切除術を施行し,切除肺に病理学的に通常型間質性肺炎所見を認めた.術後5年頃に特発性肺線維症が進行しニンテダニブによる治療を開始,同時期に左肺下葉異時性重複肺癌を疑う病変を認め手術の方針となった.特発性肺線維症に対しては周術期も抗線維化薬の継続が望ましいと判断したが,ニンテダニブは創傷治癒遅延の可能性があり周術期の安全性は確立されていないため,周術期に使用可能なピルフェニドンに薬剤を変更した.その後左下葉楔状切除術を施行し,術後経過は良好だった.結論.術前にニンテダニブからピルフェニドンへ薬剤変更した特発性肺線維症合併肺癌の症例を経験した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.446