ベテラン看護師と新人看護師の勤務前情報収集に関する電子カルテ利用による情報探索行動の差異―視線計測機を用いた注視エリアからとらえた情報収集時間,範囲,量の違い

本研究の目的は,ベテラン看護師と新人看護師の電子カルテからの情報収集の時間,範囲,量の違いを明らかにし,新たな評価手法を提案することである.研究対象者は模擬患者について電子カルテから日勤勤務前の情報収集を行った.情報収集の様子は視線計測機を用いて録画を行い,情報収集の時間,範囲を明らかにした.情報収集終了後,研究対象者へインタビューを行い,最終的に把握した患者情報の量を明らかにした.結果,「看護記録」の平均注視時間がベテラン群より新人群が長く,両群の有意差を認めた.情報収集の範囲は,ベテラン群は必要だと考える情報を選択し,新人群より多く画面を切り替えて注視していたが,新人群は1つの内容を集中的...

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Published in医療情報学 Vol. 42; no. 6; pp. 249 - 262
Main Authors 中西, 永子, 高見, 美樹, 石垣, 恭子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本医療情報学会 17.04.2023
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Summary:本研究の目的は,ベテラン看護師と新人看護師の電子カルテからの情報収集の時間,範囲,量の違いを明らかにし,新たな評価手法を提案することである.研究対象者は模擬患者について電子カルテから日勤勤務前の情報収集を行った.情報収集の様子は視線計測機を用いて録画を行い,情報収集の時間,範囲を明らかにした.情報収集終了後,研究対象者へインタビューを行い,最終的に把握した患者情報の量を明らかにした.結果,「看護記録」の平均注視時間がベテラン群より新人群が長く,両群の有意差を認めた.情報収集の範囲は,ベテラン群は必要だと考える情報を選択し,新人群より多く画面を切り替えて注視していたが,新人群は1つの内容を集中的に,時間をかけて情報収集を行っていた.情報収集の量は,「薬物療法」に関する内容は両群とも多かったが,「今後の予測」に関する内容はベテラン群が新人群より平均値が高く,両群の有意差を認めた.
ISSN:0289-8055
2188-8469
DOI:10.14948/jami.42.249