Calcipotriol (MC903)のラットを用いた経皮投与による4週間反復投与毒性試験および4週間回復試験

MC903の安全性を検討するため,0, 4, 20および100 μg/kg/dayをSlc:SD系ラットの背部剃毛皮膚に4週間閉塞塗布した。さらに,100 μg/kg/day群について,4週間の回復試験を実施し,以下の結果を得た。1. 投与期間中,100 μg/kg群の雌雄各1例が死亡した。死因は,MC903投与によるストレスおよび循環障害と推察した。また,4 μg/kg群の雌1例が,首伽の強度な頸部圧迫による呼吸困難が原因と思われる間代性痙攣を発現して死亡した。生存例では雌雄にほぼ共通して,対照群を含む各群に眼瞼周囲赤色汚れ,投与部皮膚の発赤・落屑および啼鳴,100 μg/kg群では爪先立ち...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inThe Journal of Toxicological Sciences Vol. 21; no. SupplementII; pp. 287 - 307
Main Authors 北垣, 忠温, 鈴木, 登志郎, 小池, 嘉秀, 小野, 正博, 白川, 清美, 永田, 充宏, 小西, 良士
Format Journal Article
LanguageEnglish
Published 一般社団法人 日本毒性学会 1996
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:MC903の安全性を検討するため,0, 4, 20および100 μg/kg/dayをSlc:SD系ラットの背部剃毛皮膚に4週間閉塞塗布した。さらに,100 μg/kg/day群について,4週間の回復試験を実施し,以下の結果を得た。1. 投与期間中,100 μg/kg群の雌雄各1例が死亡した。死因は,MC903投与によるストレスおよび循環障害と推察した。また,4 μg/kg群の雌1例が,首伽の強度な頸部圧迫による呼吸困難が原因と思われる間代性痙攣を発現して死亡した。生存例では雌雄にほぼ共通して,対照群を含む各群に眼瞼周囲赤色汚れ,投与部皮膚の発赤・落屑および啼鳴,100 μg/kg群では爪先立ち歩行,被毛失沢,削痩,眼球表面の一部白濁を認めた。2. 投与期間中,100 μg/kg群の雌雄に体重増加抑制,摂水量の増加傾向,雄に摂餌量の減少傾向を認めた。3. 投与期間終了時に,眼科学的検査で,100 μg/kg群の雌雄に角膜表面の一部混濁の発生頻度が増加した。尿検査で,20 μg/kg群以上の雌雄に尿中カルシウム排泄量の増加,20 μg/kg群の雌と100 μg/kg群の雌雄に尿pHの低下,100 μg/kg群の雄に尿量の減少を認めた。血液学的検査で,100 μg/kg群の雌に分葉核好中球比率の増加に伴う総好中球比率の増加を認めた。血液化学的検査で,100 μg/kg群の雌雄に血中カルシウム濃度の増加,雌にβ-グロブリン比率の増加を認めた。病理組織学的検査で,20 μg/kg群の雄に角膜の鉱質化,20および100 μg/kg群の雌雄に投与部皮膚の真皮に細胞浸潤,100 μg/kg群の雌雄に投与部皮膚の角化亢進・皮脂腺肥大・雌に扁平上皮細胞増生,雌雄に角膜・雄に腎臓の鉱質化を認めた。4. 4週間の休薬により,眼球の一部白濁,角膜表面の一部混濁,角膜・腎臓の鉱質化の回復は認められなかった。その他は回復し,可逆性の変化であった。5. 以上の結果から,本試験条件下におけるMC903の無毒性量は,雌雄とも4 μg/kg/dayと推定した。
ISSN:0388-1350
1880-3989
DOI:10.2131/jts.21.SupplementII_287