肺癌術後に前縦隔に発症し再発との鑑別を要したIgG4関連疾患の1例

IgG4関連疾患はIgG4を発現する形質細胞が関与し,全身の諸臓器に腫瘤や肥厚形成を来す疾患である.我々は肺癌術後4年目に前縦隔にIgG4関連疾患を発症し,肺癌再発との鑑別を要した症例を経験した.症例は4年前に左肺の同時多発肺腺癌に対し,左肺上葉切除とS6区域切除ならびにリンパ節郭清を行った女性で,上葉病変がpT1bN0M0の病理病期IA2期で,S6病変はpTisN0であった.術後4年目の定期CTで前縦隔に平坦な腫瘍様病変を認めた.FDG-PETでは同部に強い集積を認めた.肺癌再発も含め悪性病変を除外できず,切開生検を行った.病理結果ではIgG4関連疾患が示唆され,悪性所見は認めなかった.生検...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 32; no. 7; pp. 824 - 829
Main Authors 桑原, 博昭, 河北, 一誠, 植田, 隆太, 秋元, 真祐子, 柳内, 充, 鈴木, 昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.11.2018
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Summary:IgG4関連疾患はIgG4を発現する形質細胞が関与し,全身の諸臓器に腫瘤や肥厚形成を来す疾患である.我々は肺癌術後4年目に前縦隔にIgG4関連疾患を発症し,肺癌再発との鑑別を要した症例を経験した.症例は4年前に左肺の同時多発肺腺癌に対し,左肺上葉切除とS6区域切除ならびにリンパ節郭清を行った女性で,上葉病変がpT1bN0M0の病理病期IA2期で,S6病変はpTisN0であった.術後4年目の定期CTで前縦隔に平坦な腫瘍様病変を認めた.FDG-PETでは同部に強い集積を認めた.肺癌再発も含め悪性病変を除外できず,切開生検を行った.病理結果ではIgG4関連疾患が示唆され,悪性所見は認めなかった.生検後に測定した血清IgG4値は264 mg/dlと高値であった.以上から前縦隔に発生したIgG4関連疾患と診断し,ステロイド投与を開始した.治療開始3ヵ月後にIgG4値は正常化し前縦隔病変も消退した.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.32.824