胆嚢異物の1例

症例は66歳の女性で,慢性C型肝炎にて経過観察中に肝酵素の上昇を認めたため精査目的に当院紹介となった.腹部CTにて胆嚢壁に突き刺さった金属針様の異物を認めた.帝王切開および子宮筋腫手術の既往はあるものの上腹部手術歴はなく,手術時の異物遺残は否定的であった.入院時に腹部症状はなく,血液検査でも炎症所見は認められなかった.胆嚢異物の診断で開腹胆嚢摘出術を施行した.術中所見では,胆嚢壁および胃十二指腸壁に異物の露出や炎症所見は認められなかった.切除標本の観察にて,胆嚢粘膜に突き刺さった15 mm大の金属製異物を認めた.術後経過は良好で第9病日に退院となった.上部内視鏡検査で胃十二指腸に異常なく,発生...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 5; pp. 508 - 512
Main Authors 朴, 泰範, 吉田, 泰夫, 伊藤, 雅, 河本, 和幸, 小笠原, 敬三, 横田, 満, 岡部, 道雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.05.2010
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.43.508

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Summary:症例は66歳の女性で,慢性C型肝炎にて経過観察中に肝酵素の上昇を認めたため精査目的に当院紹介となった.腹部CTにて胆嚢壁に突き刺さった金属針様の異物を認めた.帝王切開および子宮筋腫手術の既往はあるものの上腹部手術歴はなく,手術時の異物遺残は否定的であった.入院時に腹部症状はなく,血液検査でも炎症所見は認められなかった.胆嚢異物の診断で開腹胆嚢摘出術を施行した.術中所見では,胆嚢壁および胃十二指腸壁に異物の露出や炎症所見は認められなかった.切除標本の観察にて,胆嚢粘膜に突き刺さった15 mm大の金属製異物を認めた.術後経過は良好で第9病日に退院となった.上部内視鏡検査で胃十二指腸に異常なく,発生機序の確定は困難だが,誤飲した金属製異物が腸管壁を貫通し胆嚢内に侵入し,貫通部は自然治癒したものと推察している.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.43.508