耳鼻咽喉科領域の症状に対する漢方治療例の検討
耳鼻咽喉科領域の症状を主訴に紹介された症例の背景と漢方治療経過を明らかにする目的で,2013年4月から2016年3月までに,東北大学病院漢方内科へ紹介され治療を行った全39症例を後ろ向きに検討した。漢方治療を行い自覚症状が改善したのは28例で全体の71%であった。治療対象となった主な自覚症状は,舌痛(7例),後鼻漏(4例),口腔内異常感(4例),めまい(3例),味覚異常(3例),咽喉頭異常感(3例)等であった。治療方針の一助とした気血津液弁証では,気滞の証を伴う症例における自覚症状改善が18例中15例で最も高かった。改善例の効果発現時期から漢方治療の効果は6週間程度で判断できる可能性が高いと考...
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Published in | 日本東洋医学雑誌 Vol. 70; no. 1; pp. 18 - 24 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本東洋医学会
2019
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0287-4857 1882-756X |
DOI | 10.3937/kampomed.70.18 |
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Summary: | 耳鼻咽喉科領域の症状を主訴に紹介された症例の背景と漢方治療経過を明らかにする目的で,2013年4月から2016年3月までに,東北大学病院漢方内科へ紹介され治療を行った全39症例を後ろ向きに検討した。漢方治療を行い自覚症状が改善したのは28例で全体の71%であった。治療対象となった主な自覚症状は,舌痛(7例),後鼻漏(4例),口腔内異常感(4例),めまい(3例),味覚異常(3例),咽喉頭異常感(3例)等であった。治療方針の一助とした気血津液弁証では,気滞の証を伴う症例における自覚症状改善が18例中15例で最も高かった。改善例の効果発現時期から漢方治療の効果は6週間程度で判断できる可能性が高いと考えた。不変例の検討では,うつ病 ・家庭内での重大なストレス事項が治療無効の要因の一つとして挙げられた。本研究から,難渋する耳鼻咽喉科領域の症状に対し,漢方治療は一定の効果を期待できることが示唆された。 |
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ISSN: | 0287-4857 1882-756X |
DOI: | 10.3937/kampomed.70.18 |