G-CSF産生退形成性膵管癌の1例

症例は70歳の女性で,左上腹部痛,心窩部痛を主訴に受診.外来精査中に発熱と下痢を認め緊急入院となった.著明な白血球上昇とG-CSF上昇を認め,CTで膵尾側に連なる充実性成分,囊胞性成分を有する90mmの腫瘤を認めた.出血の危険性も危惧され,摘出可能と判断されたため,膵体尾部切除,脾臓摘出,胃部分切除,結腸部分切除術を施行した.最終診断は退形成性膵管癌多型細胞型と診断され,免疫染色にてG-CSFの産生も確認された.術後3か月目に再発,化学療法・放射線療法を施行し一時的な腫瘍の縮小を認めるも,術後8か月目に永眠された.極めてまれなG-CSF産生症例を経験し,文献的考察を加えて報告する....

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 427 - 433
Main Authors 井上, 賢之, 小泉, 大, 佐田, 尚宏, 安田, 是和
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2012
Online AccessGet full text

Cover

Loading…
More Information
Summary:症例は70歳の女性で,左上腹部痛,心窩部痛を主訴に受診.外来精査中に発熱と下痢を認め緊急入院となった.著明な白血球上昇とG-CSF上昇を認め,CTで膵尾側に連なる充実性成分,囊胞性成分を有する90mmの腫瘤を認めた.出血の危険性も危惧され,摘出可能と判断されたため,膵体尾部切除,脾臓摘出,胃部分切除,結腸部分切除術を施行した.最終診断は退形成性膵管癌多型細胞型と診断され,免疫染色にてG-CSFの産生も確認された.術後3か月目に再発,化学療法・放射線療法を施行し一時的な腫瘍の縮小を認めるも,術後8か月目に永眠された.極めてまれなG-CSF産生症例を経験し,文献的考察を加えて報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.427