機能性結節内に乳頭癌を合併したMarine-Lenhart症候群の１例

• Published in: 日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 30; no. 1; pp. 82 - 86
• Main Authors: 三好, 孝典, 坪井, 光弘, 日野, 直樹, 青山, 万理子, 山崎, 眞一, 露口, 勝
• Format: Journal Article
• Language: Japanese
• Published: 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2013
• Subjects: Basedow病; Marine-Lenhart症候群; Plummer病; 乳頭癌
• ISSN: 2186-9545
• DOI: 10.11226/jaesjsts.30.1_82

Marine-Lenhart症候群に対し手術を施行し，機能性結節内に乳頭癌を合併した非常に稀な症例を経験したので，報告する。症例は62歳，女性。胸苦，動悸を自覚し，紹介医を受診した。甲状腺はびまん性に腫大し，右葉に腫瘤を触知した。血液検査でfT3，fT4の上昇，TSHの抑制，TBII陽性を認め，超音波検査で，右葉に直径約1.5cmの内部に石灰化を有する腫瘤を認めた。99mTc-O4シンチグラムでは，右葉腫瘤に一致した強い集積と左葉に淡い集積がみられた。Marine-Lenhart症候群と診断され，治療目的に当科へ紹介受診となった。右葉腫瘤は悪性疾患の可能性も考えられたため，手術の方針とした。術中，右葉腫瘤のほか，峡部にも白色の小結節を認め，いずれも迅速病理検査でPapillary carcinomaであったため，甲状腺全摘およびD2a郭清を施行した。病理組織所見では，右葉腫瘤は腺腫様甲状腺腫の像を呈し，内部に異型細胞が乳頭状に増殖する直径0.5cmの腫瘤を認めた。Marine-Lenhart症候群に合併した甲状腺乳頭癌，TNM分類でpT1N0M0 stageⅠを最終診断とした。