咽喉頭部分切除における声門上部再建手術

患側の声門上部を広範に合併切除する咽喉頭部分切除において, 有茎の骨筋弁と遊離前腕皮弁で声門上部と下咽頭を再建する手術を考案した。胸骨舌骨筋を茎とした舌骨半部で喉頭蓋の部分欠損を再建するとともにその有茎筋弁で披裂部の隆起を形成した後に, 前腕皮弁を用いて声門上部を被覆し下咽頭腔を再建するという方法である。これまでに下咽頭癌5例に行い, 術後の喉頭機能を評価した。全例が気切口を閉鎖でき音声が温存された。5例中4例はほぼ正常な声であった。嚥下機能は2例がほぼ正常, 2例が軽度障害, 1例が高度障害であり, 両側頸部郭清や下咽頭腔の全周切除を要さず, 術前に通過障害がないT2梨状陥凹癌例が良好な嚥下...

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Published in頭頸部癌 Vol. 30; no. 4; pp. 558 - 562
Main Authors 玉木, 久信, 池田, 晴人, 伊藤, 壽一, 田中, 信三, 安里, 亮, 平塚, 康之, 岩井, 浩治, 菊池, 正弘
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本頭頸部癌学会 2004
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ISSN1349-5747
1881-8382
DOI10.5981/jjhnc.30.558

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Summary:患側の声門上部を広範に合併切除する咽喉頭部分切除において, 有茎の骨筋弁と遊離前腕皮弁で声門上部と下咽頭を再建する手術を考案した。胸骨舌骨筋を茎とした舌骨半部で喉頭蓋の部分欠損を再建するとともにその有茎筋弁で披裂部の隆起を形成した後に, 前腕皮弁を用いて声門上部を被覆し下咽頭腔を再建するという方法である。これまでに下咽頭癌5例に行い, 術後の喉頭機能を評価した。全例が気切口を閉鎖でき音声が温存された。5例中4例はほぼ正常な声であった。嚥下機能は2例がほぼ正常, 2例が軽度障害, 1例が高度障害であり, 両側頸部郭清や下咽頭腔の全周切除を要さず, 術前に通過障害がないT2梨状陥凹癌例が良好な嚥下機能を示した。以上より, 咽喉頭部分切除における声門上部再建術は喉頭機能を温存するのに有用な手術方法であると考えられた。
ISSN:1349-5747
1881-8382
DOI:10.5981/jjhnc.30.558