上顎洞含歯性嚢胞に対するEndoscopic Modified Medial Maxillectomyの有用性

含歯性嚢胞は, 歯原性嚢胞の中でも歯根嚢胞に次いで二番目に多いと報告されているが, 上顎洞内にまで進展する上顎洞含歯性嚢胞は非常に稀である。しかし, 上顎洞含歯性嚢胞は鼻科領域に精通した耳鼻咽喉科で治療を行う機会が多いため, その治療に関する検討は耳鼻咽喉科医にとって重要である。近年の手術支援機器や画像診断の進歩によって, これまでlateral rhinotomyなどで行っていた上顎洞内側壁の切除を内視鏡下で行うEndoscopic medial maxillectomy (EMM) という手技が可能となった。さらに, Endoscopic medial maxillectomyをもとに下鼻...

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Published in耳鼻咽喉科展望 Vol. 56; no. 2; pp. 59 - 64
Main Authors 吉川, 衛, 柳原, 健一, 久保田, 俊輝, 石井, 祥子, 大久保, はるか, 山口, 宗太, 大木, 幹文, 大越, 俊夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 耳鼻咽喉科展望会 15.04.2013
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Summary:含歯性嚢胞は, 歯原性嚢胞の中でも歯根嚢胞に次いで二番目に多いと報告されているが, 上顎洞内にまで進展する上顎洞含歯性嚢胞は非常に稀である。しかし, 上顎洞含歯性嚢胞は鼻科領域に精通した耳鼻咽喉科で治療を行う機会が多いため, その治療に関する検討は耳鼻咽喉科医にとって重要である。近年の手術支援機器や画像診断の進歩によって, これまでlateral rhinotomyなどで行っていた上顎洞内側壁の切除を内視鏡下で行うEndoscopic medial maxillectomy (EMM) という手技が可能となった。さらに, Endoscopic medial maxillectomyをもとに下鼻甲介と鼻涙管を温存するEndoscopic modified medial maxillectomy (EMMM) が考案され, 種々の上顎洞病変に対して行われるようになってきた。今回われわれは, 上顎洞含歯性嚢胞に対しEndoscopic modified medial maxillectomyを行い, 短期的には良好な経過を得ているため, その有用性について検討を行った。その結果, 歯牙の位置や嚢胞の進展部位にかかわらず, ほぼ, どのようなタイプの上顎洞含歯性嚢胞に対しても, 本術式により低侵襲で鼻腔形態を損なうことなく嚢胞の摘出が可能と考えた。今後さらなる症例の蓄積と長期の経過観察により, 上顎洞含歯性嚢胞に対するEndoscopic modified medial maxillectomyの適応と限界を含めた有用性が明らかになるものと思われる。
ISSN:0386-9687
1883-6429
DOI:10.11453/orltokyo.56.59