胆道気腫を契機に診断された十二指腸原発T/NK cell lymphomaの1例

症例は69歳の男性で,当科受診2か月前より腹痛が出現し近医を受診した.内視鏡検査で十二指腸下行脚の潰瘍性病変を認め,腹部造影CTにて胆道気腫を指摘され,精査加療目的で当院内科を紹介された.再検上部消化管内視鏡検査時の生検にて,T細胞リンパ腫が強く疑われた.PET-CTで同部にFDGの集積を認めたが,他に異常集積を認めず,化学療法に先行して膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本にて十二指腸・膵頭部に7×6 cmの潰瘍性病変を認め,免疫染色でCD3+,CD20−,CD5−,CD7+,CD56+,CD4−,CD8+,CD30−,TIA-1+,GranzymeB+,EBER ISH−,であり,十二指腸...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 7; pp. 724 - 731
Main Authors 前田, 智治, 大野, 吏輝, 藤井, 正彦, 河崎, 秀樹, 金村, 普史, 長橋, 美弥, 名和, 由一郎, 原田, 雅光, 大谷, 広美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.07.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.724

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Summary:症例は69歳の男性で,当科受診2か月前より腹痛が出現し近医を受診した.内視鏡検査で十二指腸下行脚の潰瘍性病変を認め,腹部造影CTにて胆道気腫を指摘され,精査加療目的で当院内科を紹介された.再検上部消化管内視鏡検査時の生検にて,T細胞リンパ腫が強く疑われた.PET-CTで同部にFDGの集積を認めたが,他に異常集積を認めず,化学療法に先行して膵頭十二指腸切除術を施行した.切除標本にて十二指腸・膵頭部に7×6 cmの潰瘍性病変を認め,免疫染色でCD3+,CD20−,CD5−,CD7+,CD56+,CD4−,CD8+,CD30−,TIA-1+,GranzymeB+,EBER ISH−,であり,十二指腸原発T/NK cell lymphoma, enteropathy type IIと診断された.胆道気腫を契機に診断された十二指腸原発のT/NK細胞性の極めてまれな症例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.724