塩酸ドネペジルにより誘発された冠攣縮性狭心症の1例

塩酸ドネペジルはアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ, 脳内コリン作動性神経の神経伝達を賦活するアルツハイマー型認知症の治療薬である. 冠攣縮性狭心症の既往のない患者が, 最近になり軽度の記銘力低下を認めたことから塩酸ドネペジルを投与され, その後より冠拡張薬抵抗性の胸痛を頻回に訴えるようになった. エルゴノヴィン負荷を行うと, 冠動脈はエルゴノヴィンわずか10µgの冠注で完全閉塞となる易攣縮性の状態であった. 胸痛は最終的に塩酸ドネペジルを中止するまで継続した. 今回, 塩酸ドネペジルにより誘発された冠攣縮性狭心症の1例を経験したので報告する....

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Published in心臓 Vol. 41; no. 9; pp. 1024 - 1030
Main Authors 立石, 健人, 松尾, 清成, 西堀, 祥晴, 蒔田, 直記, 松尾, あきこ, 井上, 啓司, 北村, 誠, 塩野, 泰紹, 田中, 哲也, 藤田, 博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2009
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.41.1024

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Summary:塩酸ドネペジルはアセチルコリンエステラーゼを阻害することにより脳内アセチルコリン量を増加させ, 脳内コリン作動性神経の神経伝達を賦活するアルツハイマー型認知症の治療薬である. 冠攣縮性狭心症の既往のない患者が, 最近になり軽度の記銘力低下を認めたことから塩酸ドネペジルを投与され, その後より冠拡張薬抵抗性の胸痛を頻回に訴えるようになった. エルゴノヴィン負荷を行うと, 冠動脈はエルゴノヴィンわずか10µgの冠注で完全閉塞となる易攣縮性の状態であった. 胸痛は最終的に塩酸ドネペジルを中止するまで継続した. 今回, 塩酸ドネペジルにより誘発された冠攣縮性狭心症の1例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.41.1024