胸腺腫の術後胸膜播種再発との鑑別を要した胸壁コレステリン肉芽腫の1例

症例は45歳女性.重症筋無力症に合併した胸腺腫に対し,開胸下拡大胸腺摘出術,腕頭静脈合併切除および左肺上葉部分切除を施行した.術前の左胸腔鏡下生検で胸膜播種を認めており,術後に胸腔内を温蒸留水で浸漬した.最終病理診断はB2型胸腺腫,正岡分類IVa期であった.術後の追加治療は希望されず経過観察を行った.術後6ヵ月の胸部CTで左胸膜播種再発を疑う単発性の結節を認め,胸腔鏡下生検を施行した.術中所見では黄白色の結節が多発しており,一部を切除し終了した.病理診断はコレステリン肉芽腫であり,経過観察中である.胸部におけるコレステリン肉芽腫の症例は稀である.臨床的に診断できた場合は経過観察となるが,胸部領...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 38; no. 5; pp. 433 - 438
Main Authors 片岡, 瑛子, 白鳥, 琢也, 渡邊, 敦子, 岡本, 圭伍, 賀来, 良輔, 花岡, 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.07.2024
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.38.433

Cover

More Information
Summary:症例は45歳女性.重症筋無力症に合併した胸腺腫に対し,開胸下拡大胸腺摘出術,腕頭静脈合併切除および左肺上葉部分切除を施行した.術前の左胸腔鏡下生検で胸膜播種を認めており,術後に胸腔内を温蒸留水で浸漬した.最終病理診断はB2型胸腺腫,正岡分類IVa期であった.術後の追加治療は希望されず経過観察を行った.術後6ヵ月の胸部CTで左胸膜播種再発を疑う単発性の結節を認め,胸腔鏡下生検を施行した.術中所見では黄白色の結節が多発しており,一部を切除し終了した.病理診断はコレステリン肉芽腫であり,経過観察中である.胸部におけるコレステリン肉芽腫の症例は稀である.臨床的に診断できた場合は経過観察となるが,胸部領域では悪性腫瘍との鑑別のため切除される例が多い.自験例では胸腺腫の胸膜播種再発が疑われ,播種病変であった場合は切除を含めた集学的治療が必要であった.画像での鑑別は困難であり引き続き注意深い経過観察を要する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.38.433