色素性胸腺非定型カルチノイドの一切除例

症例は74歳男性.前胸部圧迫感を自覚し,当院へ救急搬送された.胸部CTを撮像したところ前縦隔腫瘍を指摘されたため精査加療目的に当科紹介となった.診断及び治療目的に胸腔鏡補助下前縦隔腫瘍摘出術を施行し,術後経過に問題はなかった.病理結果は腫瘍内にメラニン沈着を認め,色素性胸腺異型カルチノイドの診断に至った.胸腺カルチノイドは稀な腫瘍であり,全てのカルチノイドにおいて0.4~2%程度とされている.その中でも色素沈着を伴うものは非常に稀な亜型であり,文献報告は少ない.これまでに色素性神経内分泌腫瘍の発生臓器としては胸腺以外に肺・気管支,甲状腺での報告があり,色素沈着をきたす機序は未だに不明である.今...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 39; no. 4; pp. 348 - 352
Main Authors 冨満, 信二, 林, 明宏, 大庭, 大治, 松竹, 晴美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本呼吸器外科学会 15.05.2025
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.39.348

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Summary:症例は74歳男性.前胸部圧迫感を自覚し,当院へ救急搬送された.胸部CTを撮像したところ前縦隔腫瘍を指摘されたため精査加療目的に当科紹介となった.診断及び治療目的に胸腔鏡補助下前縦隔腫瘍摘出術を施行し,術後経過に問題はなかった.病理結果は腫瘍内にメラニン沈着を認め,色素性胸腺異型カルチノイドの診断に至った.胸腺カルチノイドは稀な腫瘍であり,全てのカルチノイドにおいて0.4~2%程度とされている.その中でも色素沈着を伴うものは非常に稀な亜型であり,文献報告は少ない.これまでに色素性神経内分泌腫瘍の発生臓器としては胸腺以外に肺・気管支,甲状腺での報告があり,色素沈着をきたす機序は未だに不明である.今回我々は色素性胸腺カルチノイドの一切除例を経験したため,文献的考察をふまえて報告する.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.39.348