Gemcitabineを用いた膵癌術後補助化学療法の有用性についての検討—生存期間延長効果の評価

はじめに:膵癌は予後不良の疾患であり,術後補助化学療法による予後の改善が期待されている.Gemcitabine(以下,GEM)による膵癌術後補助化学療法が,生存期間延長効果に寄与するかどうかを明らかにするため,GEMを用いた膵癌術後補助化学療法の治療成績とその解析を行い,主評価項目を全生存期間として検討した.対象と方法:1981年8月から2007年3月までに浸潤型膵管癌で当外科にて膵切除術を施行した症例213例(切除率55%)を対象とし,うち2002年1月から2007年3月までに,膵切除術後にインフォームドコンセントが得られた80症例をGEMによる化学療法群とし,術後補助療法に経過観察された1...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 42; no. 4; pp. 347 - 354
Main Authors 和田, 道彦, 大嶋, 野歩, 細谷, 亮, 梶原, 建熈
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2009
Online AccessGet full text
ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.42.347

Cover

More Information
Summary:はじめに:膵癌は予後不良の疾患であり,術後補助化学療法による予後の改善が期待されている.Gemcitabine(以下,GEM)による膵癌術後補助化学療法が,生存期間延長効果に寄与するかどうかを明らかにするため,GEMを用いた膵癌術後補助化学療法の治療成績とその解析を行い,主評価項目を全生存期間として検討した.対象と方法:1981年8月から2007年3月までに浸潤型膵管癌で当外科にて膵切除術を施行した症例213例(切除率55%)を対象とし,うち2002年1月から2007年3月までに,膵切除術後にインフォームドコンセントが得られた80症例をGEMによる化学療法群とし,術後補助療法に経過観察された133症例を経過観察群とした.結果:全生存期間でみると化学療法群では経過観察群に比べて有意に良好で(p=0.029;log-rank法),ハザード比は0.785(95%CI:0.642-0.949)であった.層別化因子では,癌遺残度R1例,リンパ節転移陽性例,門脈浸潤陽性例,神経叢浸潤陽性例,膵頭部癌例でそれぞれ経過観察群よりも,GEM投与群で有意に全生存期間延長効果が認められた.考察:膵癌術後GEM補助化学療法は生存期間延長効果があることが強く示唆された.画像診断上進行膵癌を疑っても積極的に切除を目指し,術後GEM補助化学療法を施行することは予後改善に寄与すると考えられる.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.42.347