切除可能であった肺多形癌の孤立性大網転移の1例

症例は62歳の男性で,膵管内乳頭粘液性腫瘍でフォロー中にCEAの上昇を認め,精査で右鎖骨上窩リンパ節転移を伴う左肺多形癌と診断された.化学療法によりいったんCT上complete response(以下,CRと略記)となったが,半年後に縦隔リンパ節に再発し同部位に放射線療法を施行した.再度CRになったが,その2年7か月後にCEAが再上昇しFDG-PETで腹腔内に集積を認めた.CTでは,腫瘤は下行結腸近傍に存在し,肺癌の孤立性大網転移と診断し手術を施行した.開腹時に左側大網に腫瘤を認め周囲の大網を含めて腫瘤を摘出した.病理組織学的検査では,以前の右鎖骨上窩リンパ節生検像と同様に,大型異型細胞が増...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 45; no. 4; pp. 466 - 473
Main Authors 大植, 雅之, 真貝, 竜史, 今田, 慎也, 冨田, 裕彦, 能浦, 真吾, 矢野, 雅彦, 宮代, 勲, 東山, 聖彦, 岸, 健太郎, 石川, 治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.04.2012
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ISSN0386-9768
1348-9372
DOI10.5833/jjgs.45.466

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Summary:症例は62歳の男性で,膵管内乳頭粘液性腫瘍でフォロー中にCEAの上昇を認め,精査で右鎖骨上窩リンパ節転移を伴う左肺多形癌と診断された.化学療法によりいったんCT上complete response(以下,CRと略記)となったが,半年後に縦隔リンパ節に再発し同部位に放射線療法を施行した.再度CRになったが,その2年7か月後にCEAが再上昇しFDG-PETで腹腔内に集積を認めた.CTでは,腫瘤は下行結腸近傍に存在し,肺癌の孤立性大網転移と診断し手術を施行した.開腹時に左側大網に腫瘤を認め周囲の大網を含めて腫瘤を摘出した.病理組織学的検査では,以前の右鎖骨上窩リンパ節生検像と同様に,大型異型細胞が増生し,免疫染色検査で肺原発を示すThyroid transcription factor-1,NapsinAが陽性であり,肺多形癌の大網転移と最終診断された.術後8か月経過した現在,無再発生存中である.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.45.466