漢方薬による母指手根中手関節症の治療経験

母指の手根中手関節症に対する治療は普通では消炎鎮痛の内服や外用薬,また固定療法が行われる。今回,3例の母指の手根中手関節症の患者に対して疎経活血湯が著効したので報告する。症例1は50歳女性,2は68歳男性,3は66歳女性であった。症例1,2は母指痛があり母指の手根中手関節症と診断して疎経活血湯を投与して著効した。 症例3は第2手根中手関節の痛風発作のため越婢加朮湯と大黄牡丹皮湯を投与して軽快したが,以前よりあった左母指の手根中手関節症が残存しており,疎経活血湯を投与して軽快した。痛風発作に対しては越婢加朮湯と大黄牡丹皮湯が有効であり,変形性関節症に対しては疎経活血湯が有効であった。同一症例でも...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 71; no. 1; pp. 53 - 57
Main Authors 福嶋, 裕造, 藤田, 良介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2020
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.71.53

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Summary:母指の手根中手関節症に対する治療は普通では消炎鎮痛の内服や外用薬,また固定療法が行われる。今回,3例の母指の手根中手関節症の患者に対して疎経活血湯が著効したので報告する。症例1は50歳女性,2は68歳男性,3は66歳女性であった。症例1,2は母指痛があり母指の手根中手関節症と診断して疎経活血湯を投与して著効した。 症例3は第2手根中手関節の痛風発作のため越婢加朮湯と大黄牡丹皮湯を投与して軽快したが,以前よりあった左母指の手根中手関節症が残存しており,疎経活血湯を投与して軽快した。痛風発作に対しては越婢加朮湯と大黄牡丹皮湯が有効であり,変形性関節症に対しては疎経活血湯が有効であった。同一症例でも他部位における他疾患では局所の症状は違っており,局所の微妙な証の違いがあると考えられた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.71.53