気道ステント,食道ステントを挿入し長期生存を認めた進行食道癌の1例

症例は58歳の男性で,嚥下困難感を主訴に受診し,胸部中部食道の全周性の扁平上皮癌を指摘された.気管浸潤を疑い,当院における切除不能進行食道癌レジメに沿って5-fluorouracil,cisplatin併用化学療法を開始したが,気管分岐の頭側で癌浸潤による気管狭窄を来し,狭窄部に金属ステントを留置した.以後,放射線療法63 Gy,docetaxel,nedaplatin併用化学療法を施行した.4か月後,食道気管瘻を来し,食道ステントを留置した.さらに,4か月後留置した食道ステントの口側に食道気管瘻を形成し,stent-in-stentの形で食道カバーステントを挿入した.発症から14か月後,肺炎...

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Published in日本消化器外科学会雑誌 Vol. 43; no. 8; pp. 790 - 795
Main Authors 小山, 幸法, 上田, 修吾, 金井, 陸行, 弓場, 吉哲, 伊藤, 僚子, 高林, 有道
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本消化器外科学会 01.08.2010
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Summary:症例は58歳の男性で,嚥下困難感を主訴に受診し,胸部中部食道の全周性の扁平上皮癌を指摘された.気管浸潤を疑い,当院における切除不能進行食道癌レジメに沿って5-fluorouracil,cisplatin併用化学療法を開始したが,気管分岐の頭側で癌浸潤による気管狭窄を来し,狭窄部に金属ステントを留置した.以後,放射線療法63 Gy,docetaxel,nedaplatin併用化学療法を施行した.4か月後,食道気管瘻を来し,食道ステントを留置した.さらに,4か月後留置した食道ステントの口側に食道気管瘻を形成し,stent-in-stentの形で食道カバーステントを挿入した.発症から14か月後,肺炎のため永眠した.病理組織学的解剖では癌の遺残を認めなかった.進行癌に対するステント挿入後の放射線化学療法は禁忌とする報告も見られるが,合併症をコントロールしながら長期生存を認めた1例を経験したので報告する.
ISSN:0386-9768
1348-9372
DOI:10.5833/jjgs.43.790