甲状腺癌縦隔転移に対する手術の適応と限界

甲状腺癌の縦隔転移は,切除可能であれば外科的切除が第1選択である。当院で縦隔転移に対して手術を行った19例を対象とし,その手術方法と成績を紹介するとともに,文献的考察から,手術の適応と限界を検証した。切除した病変が未分化癌であった症例が3例,非治癒切除となった4例は,結果的には手術の限界と判断した。残りの12例は手術が有効な治療手段であり,予後の延長に寄与したと考える。TKI治療が保険適応となってから,進行例の治療も変化すると思われるが,現時点では,分化癌は甲状腺全摘後,RAI治療を行い,治療抵抗性を示すものが適応であるので,外科治療が第1選択治療であることに間違いはない。初回手術のみならず再...

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Published in日本内分泌・甲状腺外科学会雑誌 Vol. 35; no. 1; pp. 30 - 35
Main Authors 吉田, 達也, 中山, 博貴, 菅沼, 伸康, 山﨑, 春彦, 益戸, 功彦, 根本, 大士, 岩崎, 博幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本内分泌外科学会・日本甲状腺外科学会 2018
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ISSN2186-9545
DOI10.11226/jaesjsts.35.1_30

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Summary:甲状腺癌の縦隔転移は,切除可能であれば外科的切除が第1選択である。当院で縦隔転移に対して手術を行った19例を対象とし,その手術方法と成績を紹介するとともに,文献的考察から,手術の適応と限界を検証した。切除した病変が未分化癌であった症例が3例,非治癒切除となった4例は,結果的には手術の限界と判断した。残りの12例は手術が有効な治療手段であり,予後の延長に寄与したと考える。TKI治療が保険適応となってから,進行例の治療も変化すると思われるが,現時点では,分化癌は甲状腺全摘後,RAI治療を行い,治療抵抗性を示すものが適応であるので,外科治療が第1選択治療であることに間違いはない。初回手術のみならず再発症例でも切除可能な縦隔転移はすべて切除すべきと考えるが,まだ観察期間も短いので,手術の適応と限界については,2次治療としてのRAI内用療法,外照射,TKI治療の成績も考慮し,今後継続して検証したい。
ISSN:2186-9545
DOI:10.11226/jaesjsts.35.1_30