新型コロナウィルスによるパンデミック下の社会性発達に関する横断的・縦断的検討

新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によるパンデミックにより社会情勢は大きく変化し,子どもの精神的な健康や社会情緒的な発達への影響が懸念される。しかしながら,我が国において,パンデミック前とパンデミック時の子どもの行動を比較した研究やパンデミック時における縦断的な変化を検討した研究はほとんど報告されていない。本論文では,パンデミック前(T0),パンデミック下の2020年4月(T1),10月(T2),2021年2月(T3)の4つの時点における社会情緒的行動(4歳から9歳を対象)や養育者・他者への心理的距離(0歳から9歳を対象)を調べた筆者らの横断的・縦断的な研究を紹介する。これらの調査の...

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Published in発達心理学研究 Vol. 33; no. 4; pp. 325 - 331
Main Authors 森口, 佑介, 王, 珏, 坂田, 千文, 孟, 憲巍, 萩原, 広道, 山本, 希, 渡部, 綾一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本発達心理学会 2022
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Summary:新型コロナウィルス感染症(COVID-19)によるパンデミックにより社会情勢は大きく変化し,子どもの精神的な健康や社会情緒的な発達への影響が懸念される。しかしながら,我が国において,パンデミック前とパンデミック時の子どもの行動を比較した研究やパンデミック時における縦断的な変化を検討した研究はほとんど報告されていない。本論文では,パンデミック前(T0),パンデミック下の2020年4月(T1),10月(T2),2021年2月(T3)の4つの時点における社会情緒的行動(4歳から9歳を対象)や養育者・他者への心理的距離(0歳から9歳を対象)を調べた筆者らの横断的・縦断的な研究を紹介する。これらの調査の結果,子どもの社会情緒的行動は4時点でほとんど変わらないこと,養育者・他者への心理的距離は社会情勢の影響を受けることが示された。横断的・縦断的な研究方法の問題点を踏まえながら,これらの結果を総括した。
ISSN:0915-9029
2187-9346
DOI:10.11201/jjdp.33.325