ポリエチレンマルチの被覆処理がマルバルコウの埋土種子に及ぼす影響

国内のダイズ圃場で問題になっているマルバルコウについて,黒および透明ポリエチレンマルチシート(以下,ポリマルチ)被覆による加温処理とその時期,期間が埋土種子の低減に及ぼす影響を検討した。試験は2019年~2021年に広島県内のダイズ圃場で行い,ダイズを作付する圃場では播種までの3か月間(短期),休耕管理では4~10月の7か月間(長期),圃場をポリマルチで被覆した。4~10月の作土層位別の平均地温は地表面ほど高く,作土層の平均地温は透明マルチ被覆(24.8~26.2°C),黒マルチ被覆(23.6~23.9°C),無被覆(21.4~21.9°C)の順に高い傾向であった。また,地表面の相対湿度はポリ...

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Published in雑草研究 Vol. 69; no. 4; pp. 127 - 137
Main Authors 浅見, 秀則, 石岡, 厳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本雑草学会 2024
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Summary:国内のダイズ圃場で問題になっているマルバルコウについて,黒および透明ポリエチレンマルチシート(以下,ポリマルチ)被覆による加温処理とその時期,期間が埋土種子の低減に及ぼす影響を検討した。試験は2019年~2021年に広島県内のダイズ圃場で行い,ダイズを作付する圃場では播種までの3か月間(短期),休耕管理では4~10月の7か月間(長期),圃場をポリマルチで被覆した。4~10月の作土層位別の平均地温は地表面ほど高く,作土層の平均地温は透明マルチ被覆(24.8~26.2°C),黒マルチ被覆(23.6~23.9°C),無被覆(21.4~21.9°C)の順に高い傾向であった。また,地表面の相対湿度はポリマルチ被覆によって無被覆と比較して3割程度高く維持された。短期ポリマルチ被覆処理によってダイズ作付期間中のマルバルコウの累積出芽数は低くなったが(対無被覆比72~77%),埋土種子の低減効果は限定的であった。一方,長期ポリマルチ被覆処理による埋土種子低減効果は短期被覆処理と比較して高く,無被覆と比較して単年で56~74%減少した。したがって,休耕管理時の長期ポリマルチ被覆処理はマルバルコウの埋土種子低減に有効であり,また,単年でも高い処理効果が確認された。
ISSN:0372-798X
1882-4757
DOI:10.3719/weed.69.127