高校家庭科での遺伝要因をふまえた生活習慣予防教育の試みと課題 「家庭基礎」における教材開発と実践授業の分析から

本研究は高校「家庭基礎」の授業において, 家庭科教員が実施する遺伝要因もふまえた生活習慣病予防教育の有効性を明らかにすることを目的とした. 生活習慣病発症の遺伝要因にも注目する新たな視聴覚教材を試作し, 食生活領域のまとめとして普通科1年生を対象に授業を行った. 生活習慣病の発症には環境要因と遺伝要因の両方が関与していること, 生涯健康な生活を送るには青年期からの食生活習慣の改善を含めた健康管理が大切であること等を理解し, 生活習慣改善への実践意欲を高めることを目標とした. 授業の前後に行った生徒及び授業者への質問紙調査等を分析して授業を評価した. その結果, 授業前にあった生活習慣病予防への...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 75; no. 5; pp. 196 - 205
Main Authors 大坪, 千尋, 藤田, 宏美, 上田, 悦子, 野坂, 奈緒美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2024
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej.75.196

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Summary:本研究は高校「家庭基礎」の授業において, 家庭科教員が実施する遺伝要因もふまえた生活習慣病予防教育の有効性を明らかにすることを目的とした. 生活習慣病発症の遺伝要因にも注目する新たな視聴覚教材を試作し, 食生活領域のまとめとして普通科1年生を対象に授業を行った. 生活習慣病の発症には環境要因と遺伝要因の両方が関与していること, 生涯健康な生活を送るには青年期からの食生活習慣の改善を含めた健康管理が大切であること等を理解し, 生活習慣改善への実践意欲を高めることを目標とした. 授業の前後に行った生徒及び授業者への質問紙調査等を分析して授業を評価した. その結果, 授業前にあった生活習慣病予防への意欲は授業後も維持され, 授業後には生活習慣病知識の理解と生活習慣の見直し意欲が高まった. また, 生活習慣病の発症には環境要因と遺伝要因が関係することの理解も深まったといえた. 生活習慣病予防の実践意欲をより高めるための授業の工夫として, 導入部分を含め関心を高める視聴覚教材など「教材効果」, 教材を活用した「授業者の説明」, グループでの話し合いや発表による「他者意見の共有」, の3要素を組み入れた学習活動が重要であることが示唆された.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.75.196