各種石炭の熱分解過程における粒子形状変化

一般に, ガス化, 燃焼に伴う石炭の物理, 化学変化は石炭粒子の表面ならびに気孔内表面において起こり, しかも熱分解過程において石炭は粒子形状変化を呈する.従来より, 熱分解における石炭の気孔生成, 気孔の形状変化に関する研究が数多く行われてきた.Stubington等は3種類のオーストラリア炭を用いた熱分解実験結果より, 各石炭の揮発分の放出時間の違いは石炭気孔の構造の相異による輻射伝熱速度の差に起因すると指摘している.そのほか, 石炭粒子に対する微細的な観察結果から, (i) 熱分解過程において, 石炭粒子は軟化, 膨張するとともに数多くの気孔を発生する, (ii) 加熱された石炭粒子の粒...

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Published in化学工学論文集 Vol. 19; no. 4; pp. 672 - 676
Main Authors 陳, 勇, 松田, 仁樹, 架谷, 昌信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 化学工学会 1993
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Summary:一般に, ガス化, 燃焼に伴う石炭の物理, 化学変化は石炭粒子の表面ならびに気孔内表面において起こり, しかも熱分解過程において石炭は粒子形状変化を呈する.従来より, 熱分解における石炭の気孔生成, 気孔の形状変化に関する研究が数多く行われてきた.Stubington等は3種類のオーストラリア炭を用いた熱分解実験結果より, 各石炭の揮発分の放出時間の違いは石炭気孔の構造の相異による輻射伝熱速度の差に起因すると指摘している.そのほか, 石炭粒子に対する微細的な観察結果から, (i) 熱分解過程において, 石炭粒子は軟化, 膨張するとともに数多くの気孔を発生する, (ii) 加熱された石炭粒子の粒径は原炭より10%程度増大する, (iii) 熱分解の際に生じる気孔はおよそ, 帯状, 気泡状とC-状の三種類の形態で存在することが明らかにされている.Canらは石炭粒子の気孔はおよそ, ミクロ気孔 (<0.0012μm), 中間気孔 (0.0012~0.03μm), マクロ気孔 (>0.03μm) として存在することを明らかにした.しかしながら, 彼らの研究では, 試料としてれき青炭のみを用いており, また, 石炭比表面積の温度による変化は検討されていない. そこで, 本研究では, 褐炭, れき青炭および無煙炭に属する3種類の石炭を用いて, 熱分解実験を行い, その結果に基づいて, 各石炭の粒子径, 表面形状および比表面積の熱分解温度依存性について炭種ごとに検討を行った.
ISSN:0386-216X
1349-9203
DOI:10.1252/kakoronbunshu.19.672