ルール学習の評価側面としての「仮説産出レベル」の検討

ルール学習の評価問題として, あるものや事実がルールに当てはまるか否か判断を求める問題がこれまでの研究の主流となってきた。これを「判断レベルのルール適用」と名づける。一方, あるものや事実に対して学習者自身が「ルールに当てはまるのではないか」と問いを作るような問題については調べられていない。これを「仮説産出レベルのルール適用」と名づけ, その把握方法の開発と適用の促進を試みたのが本研究である。「金属のようにピカピカ光る物質は電気を通す性質も持っている」というルールを取り上げ, ターゲット事例(アンチモン, ポリアセチレン)に対し, 電気を通すかを判断させる課題と, 何を調べてみたいかを自由記述...

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Published in教育心理学研究 Vol. 61; no. 3; pp. 311 - 322
Main Author 安永, 正夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本教育心理学会 2013
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Summary:ルール学習の評価問題として, あるものや事実がルールに当てはまるか否か判断を求める問題がこれまでの研究の主流となってきた。これを「判断レベルのルール適用」と名づける。一方, あるものや事実に対して学習者自身が「ルールに当てはまるのではないか」と問いを作るような問題については調べられていない。これを「仮説産出レベルのルール適用」と名づけ, その把握方法の開発と適用の促進を試みたのが本研究である。「金属のようにピカピカ光る物質は電気を通す性質も持っている」というルールを取り上げ, ターゲット事例(アンチモン, ポリアセチレン)に対し, 電気を通すかを判断させる課題と, 何を調べてみたいかを自由記述させる課題を行った。自由記述において「電気を通すか調べてみたい」という反応を仮説産出レベルのルール適用とした。その結果, 仮説産出レベルのルール適用は判断レベルのルール適用に比べて成り立ちにくいことが示された。また, ターゲット事例に近い事例(鉛筆の芯)が電気を通すことをルールと共に提示することによって仮説産出レベルのルール適用が促進され, それは文章を読むだけより実演を伴わせた時により促進される可能性が示唆された。
ISSN:0021-5015
2186-3075
DOI:10.5926/jjep.61.311